2015年4月22日水曜日

モンゴルの専門家(弁護士や会計士)について思うこと

モンゴルで仕事をしていると、ある程度専門的な質問に対し、専門家ごとに異なる回答が返ってくることが多いです。
もちろん、過失割合が微妙な交通事故で弁護士の見通しが違っているとか、かなり無理している経費が控除できるかどうかで税務会計士の意見が違っているとかいった話ではありません。
誰もが同じ回答をすべき事柄(たとえば、給与から社会保険の源泉徴収義務があることとか、自賠責保険は車両にかける保険であるということとか)であっても、専門家によって回答が異なったりするのです。

これらは、関連する法律を読んで、さらに若干の調査(担当役所に電話で聴き取るなど)すれば、間違えることはない内容です。でも間違える。
その理由は、専門家のほうで法律と実際の運用の区別がついていないことにもあります。言葉の壁でこちらの質問が正しく伝わっていないことも多い。しかし、最大の理由は、専門家のほうで疑問点をいちいち調べるくせがついていないこと、さらに加えて、知らないことを知らない、出来ないことを出来ないと言わない点にあります。

さすがに外国人相手の超一流の専門家はきちんと根拠まで調査しますが、現地でそこそこやっている程度の専門家は、平気でうそを言うことも多い。「それ違うのではないか」と疑問を感じはじめても、依頼者側が独自に調査してきちんと「こうではないか」と指摘するまでは事態は変わらないことが多い。そして、相手が自分より分かっていると感じると割りにあっさりと意見を修正します。多くは「その事情は知らなかった、法律がかわった」など言い訳をします。
私は、こちらの見解が絶対に正しいにも関わらずモンゴルの専門家と意見が異なってしまったことが何度もあります。その場合、私が外国人であることから、依頼者にはこちらが間違っていると思われることが非常に多い。さらに、依頼者の面前でモンゴルの専門家と対決させられるという扱いを受けたこともあります(これはとても失礼なことだと思うのですが、まあ、私が正しいことが明らかになった点はよいとしましょう)。

モンゴルの専門家は、知らないことでも平気な顔で回答するので、クライアントがその回答を信じるのはやむを得ないと思います。また、きちんと調査してから回答する専門家ほど頼りなさそうに感じられたりすることも多い。モンゴルの専門家に依頼するのは(突き詰めると)いろいろ難しいことも多いと思います。

2015年4月11日土曜日

マンション購入の際の注意点

毎週モンゴルで法律相談のテレビ番組に出演しています。先週は、テーマが「マンションの法律問題」でした。番組内ではしゃべる時間がなかったのですが、最近は次のようなマンションのトラブルが多いようなので、ご紹介するとともに注意喚起したいと思います。

1 建物面積が契約上の面積よりも狭い(例:建物面積は壁内から測量すべきであるのに壁外から測量した面積で販売した事例がある)

2 1と同じであるが、ベランダの面積を建物面積として組み入れることで実際の面積が契約上の面積より狭い(基準測量センターの「アパート建設内部面積計算方法」によればベランダは70%の面積として参入すべきとされる)

3 これも1と関連するが、建物面積の測量は2009年までは首都専門検査局が実施していた。しかしその後は民間業者が自ら測量することで検査制度が骨抜きになってきている。

4 物価上昇に伴う建築材料の高騰などを理由として、購入者が建築請負業者から追加代金の請求をされる事例

5 期限内に建物が完成しない場合があり、その場合の損害賠償のトラブル

6 請負代金未払いの事案で、遅延損害金のトラブル

7 契約解除する場合、注文者からの解除に対して10-20%の違約罰条項が設けられていることが多いがその妥当性に関連するトラブル

モンゴルでは、新築マンションの場合、1㎡あたりの単価を基準に価格算定されることが多いことから、上のようなトラブルが多発しています。マンション販売に関する契約書は業者側が作成することが多く、どうしても業者に有利な契約内容になりがちです。きちんと契約書を確認することが必要です。

2015年4月3日金曜日

公正競争・消費者保護庁の活動

モンゴルには、公正競争・消費者保護庁(AFCCP : Authority for Fair Competition and Consumer Protection)という内閣直属の国家機関があります。公正取引委員会とも訳されることがあり、確かに日本の公正取引委員会とも類似しますが、反トラスト以外にも、消費者保護の見地から活動を進めている点が特徴的です。日本でいえば、公正取引委員会と消費者庁を合わせたような組織といってよいでしょう。

最近では、違法駐車のレッカー移動が法律違反であるとして、ウランバートル市に是正勧告を出しています。また、レッカー移動にかわる手段としてタイヤロックも行われていますが、これも法律違反として是正勧告が出ています。しかし、市がこれらの是正勧告に従わないことから、行政裁判所に申し入れを行ったことが報道されています。

これ以外にも、住宅の面積の不当表示への勧告、小どものフライト料金無料化の勧告、銀行の二重の手数料徴収の是正勧告、電話料金の払い戻しに関する消費者に誤解を与えるような表示の是正勧告、欠陥住宅等の販売に関する是正勧告、保険仲介サービス業者の契約書に関する是正勧告、自動車学校の教育環境に対する是正勧告、美容院等での無資格者の行うサービスに関する是正勧告、公証人サービス料金の上乗せについての是正勧告、オートバイの品質に対する是正勧告、鉄骨の品質に対する是正勧告、大学料金の不当徴収に関する是正勧告、UB市内の有料公衆トイレを無料化する是正勧告、児童向け図書の不適切な内容についての是正勧告と有害図書没収などさまざまな活動を行っています。これらの活動は、検査官が検査のうえ決定されるのですが、消費者からの通報が検査の端緒になる事案が多いようです。

モンゴルで事業を考えている人は、公正な競争を心掛ける必要があります。特に、消費者保護の見地から法律違反が認められる例は(特に外国人には各種の法律が明確に理解できないこともあり)多数あると思われます。注意してください。

年齢を意識する

 高校の同窓会の案内が届いた。卒業後30年以上経ってはじめての同窓会である。同級生は皆50歳を超えている。生憎、所用で参加できないのだが、いまだに14歳のときから考えていることはほとんどおんなじで年齢を意識することなどほとんどないぼくも、ああ、おじいさんになったのかとしみじみする...