2014年12月24日水曜日

引き続きマルチンテレビについて

今日はクリスマス・イブですが、夜は相変わらず生放送出演です。
モンゴルでテレビにレギュラー出演することになるとは思いついたこともなかった。こんなことが現実なんだから人生何が起きても不思議でない。今日のテーマは「解雇」!どしどしお電話ください。

ところで、日本のテレビでは「フリップ」が多用されていますよね。モンゴルではこれがあんまり使われていません。今日の放送から日本風にフリップを使って説明を入れるようにしました。視聴者に分かりやすく、より面白い番組にしたいと考えています。

2014年12月15日月曜日

テレビ出演

モンゴルに来て以来、テレビ番組には何度か出演しているが、先日ははじめて生放送に出演した。「牧民(マルチン)テレビ」局の「法律の時間」という番組。

午後7時からの番組だが、私はどんな番組かも何をさせられるかも、当然生放送だとも知らずにテレビ局に6時30分すぎに到着し、「調停をテーマに適当に話す」という番組の趣旨を告げられた。番組は知り合いの弁護士2人と私の3人で調停についてのトークを行い、合間合間に、視聴者からの生電話での質問に受け答えするという、非常にスリリングな番組であった。

1時間番組ということをその場で聞いて驚いたが、驚く間もなく「トムとジェリー」の後に番組がはじまり、あっという間に1時間が過ぎた。面白かった。

2014年12月9日火曜日

新警察総局長

知り合いが新しい警察総局長(日本でいえば警察庁長官)に就任されました。

おだやかな感じの人格者で、アメリカやロシアにも留学され、組織犯罪関係の部門や法執行大学の学長もされていました。

モンゴルでは内閣が替わって上のほうから人事が刷新さています。困ったと思うこともあれば、こういうよいこともあります。

2014年11月21日金曜日

司法試験合格発表

モンゴルでも司法試験が行われています。社会主義時代は法学部卒業者に自動的に法曹資格が付与されていましたが、民主化後しばらくして1990年代末から司法試験(法曹資格付与試験)が行われるようになりました。

司法試験受験資格を得るには法学士取得後2年間の法律実務経験が必要です。試験に合格するといわゆる事務弁護士(法廷に立てない弁護士。ソリシター類似)の資格が得られます。
これまでは司法試験合格者に対してさらに弁護士、裁判官、検察官等の試験が行われていましたが、昨年からは、たとえば弁護士については裁判所に登録することで弁護士業務を認めるなど、制度が大幅に変更されています。
 携帯持ち込み禁止ですが、携帯等を使用した不正行為の話も聞いています。つてがなく失敗したようですが、実際に贈賄による合格を企図した人も知っています。もっとも、不正行為や試験にからんだ贈収賄は日本の大学(医学部に限らないことは、なべやかん氏の事件でも周知の事実。近年教員採用試験で表面化したように公務員試験でも同様のことがあります)などでもあることですので、モンゴルだけがおかしいわけでもありません。


昨年は司法改革による法曹資格制度の変更により司法試験は実施されませんでしたので、新制度になってはじめての司法試験となります。昨年試験が実施されなかったこともあり、今年の試験は1698人が願書提出、1506人が実際に受験をしました(受験申込人数は2010年710人、2011年925人、2012年960人と次第に増加傾向にあります)。


試験はいわゆる択一試験と論文試験であり、すべての試験がコンピュータに入力する方式で行われます。試験に必要なコンピュータを確保するために試験会場は分散され、ゲームセンターやインターネットカフェも使用されました。
試験は11月12日と13日の2日間で実施、択一試験は70%以上の得点で合格します。択一試験の合否は当日に判明し、合格者のみ論文試験を受験できます。論文試験受験者数は747人。論文試験の得点と択一試験の特定の総合得点で合格者が選ばれます。


試験結果ですが、20日発表の最終合格者は312人。性別では、男170人、女142人。 年齢では、20ー30歳が246人、31-40歳が49人、41-60歳が17人。大学別では国立大165人と半数以上を占め、イフザクグ大学55人、シヒグツグ大学37人と続きます。

2014年11月17日月曜日

税務職員のインセンティブ

これは税務局のWEBで公表されているので秘密でもなんでもないのですが、日本人からみると非常に驚くべき制度ですので、ご紹介します。



モンゴルの税務署は非常に恣意的な徴税をするといったうわさがありますし、賄賂に関するうわさも絶えません。日本の税務署が必ずしも透明とは思いませんが、モンゴルの税務行政が日本以上に混沌としているのは誰もが同意するところだと思います。



これは、各税務署の職員に与えられたボーナスの一覧表です(右端が金額。その左がボーナスを支給された部門の部長の名前)。
徴税についてのインセンティブを与えるという目的でこれらのボーナスが支給されているようですが、その金額がすごい。たとえば、バヤンズルフ税務局(No.3)のЦ.Сайнбуян部長の部署は、2013年のボーナスとして   1,155,200,000MNTを受け取っているということです。11億5520万MNT。現在のレートでは約7000万円です。部の人数が何人いるのか分かりませんが、100人としても1人70万円!50人なら140万円!部長とか幹部は多く取るでしょうから、最低賃金が19万MNT(約1万2000円弱)の社会で税務署員の立場のすごさがよく分かります。


(税務局リンク)
http://www.mta.mn/news/show/1076

ЗАСАГ ДАРГА, ИРГЭДИЙН ТӨЛӨӨЛӨГЧДИЙН ХУРЛААС 
ОЛГОСОН ҮР ДҮНГИЙН ГЭРЭЭНИЙ УРАМШУУЛЛЫН СУДАЛГАА
Д/д
Татварын алба
Огноо
Газрын /хэлтэс/ даргын нэр
Гэрээний дагуу Татварын албанд олгосон урамшууллын дүн /төгрөг/
1
Нийслэлийн Татварын
газар
2009
С.Энхбаатар
                                191,700,000
2010
С.Энхбаатар
                                135,000,000
2011
С.Энхбаатар
                                300,000,000
2012
С.Энхбаатар
                                144,844,200
Нийт
                                771,544,200
2
Баянгол дүүргийн
Татварын хэлтэс
2010
 Д.Энхбат
                                200,000,000
2011
 Б.Оюунтуяа
                                120,000,000
2012
 Б.Оюунтуяа
                                195,000,000
2013
 Б.Оюунтуяа
                                599,500,000
Нийт
                             1,114,500,000
3
Баянзүрх дүүргийн
Татварын хэлтэс
2010
Д.Готов
                                  42,400,000
2011
Ч.Сүрэнхорлоо
                                  91,700,000
2012
Ч.Сүрэнхорлоо
                                157,300,000
2013
Ц.Сайнбуян
                             1,155,200,000
Нийт
                             1,446,600,000
4
Чингэлтэй дүүргийн
Татварын хэлтэс
2010
Л.Нэргүй
                                293,664,800
2011
Л.Нэргүй
                                706,335,000
2012
Л.Нэргүй
                                  56,000,000
2013
М.Болортуяа
                                250,000,000
Нийт
                             1,305,999,800
5
Сүхбаатар дүүргийн
Татварын хэлтэс
2010
Б.Занданбат
                                480,000,000
2011
Б.Занданбат
                                618,000,000
2012
Б.Занданбат
                                800,000,000
2013
Ц.Амартайван
                                800,000,000
Нийт
                             2,698,000,000
6
Сонгинохайрхан дүүргийн
Татварын хэлтэс
2010
А.Ариунгэрэл
                                  27,987,452
2011
А.Ариунгэрэл
                                  71,255,900
2012
Ц.Сүхбаатар
                                  87,912,500
2013
Ц.Сүхбаатар
                                340,060,350
Нийт
                                527,216,202
7
Хан-Уул дүүргийн
Татварын хэлтэс
2010
Х.Төмөрбаатар
                                  34,500,000
2011
Д.Батхуяг
                                  88,600,000
2012
Д.Батхуяг
                                190,000,000
2013
Д.Бадам
                                416,600,000
Нийт
                                729,700,000
8
Багануур дүүргийн
Татварын хэлтэс
2010
Д.Болд
                                  40,000,000
2011
Д.Болд
                                  10,000,000
2012
Д.Болд
                                     2,500,000
Нийт
                                  52,500,000
9
Налайх дүүргийн
Татварын хэлтэс
2011
Н.Энхээ
                                     6,000,000
2012
Д.Энхбаяр
                                  20,000,000
Нийт
                                  26,000,000

2014年11月12日水曜日

首相の不信任決議で名誉毀損

みなさんご承知のとおり今月5日にアルタンホヤグ首相に対する不信任決議が可決され、首相は辞任しました。


驚くべきことに、アルタンホヤグ前首相は、不信任決議を提出したハヤンヒャルバ国会議員に対して、名誉毀損で民事訴訟を提起しました。不信任決議に対して、名誉毀損の民事訴訟で対抗するというのは、ふつうでは考えられないですね。


興味深いのは、2014年11月5日付けで訴状が提起され、その日の夜のうちに第1回期日が2014年11月7日午前10時00分(報道では11時ですが写真の呼出状では11時になっています)と決定して呼出状が送付されたとのことです。管轄しているのはUBの民事第2裁判所です(私は昨日も今日も仕事で第2民事裁判所に行っていましたが、事務局長もこの件で苦情が来たりして大変だとぼやいていました)。


このように迅速に事件処理がなされるのであれば司法改革は成功したといえるだろうと、マスコミは皮肉なコメントをしています。





2014年11月11日火曜日

モンゴル不動産市場の透明性

だいぶ前の話になりますが、今年7月、総合不動産サービス大手のJLLグループ(本社イリノイ州シカゴ)と、ラサール インベストメント マネージメント(本社イリノイ州シカゴ)が、世界の不動産市場の透明度を数値化した2年に1度の独自調査レポート「2014年版グローバル不動産透明度調査」を発表しています。

この調査によれば、対象国102カ国中、モンゴルは99位!
笑ってしまうような順位ですが、下には100位ミャンマー、101位セネガル、102位リビアとあります。リビアってね。
ちなみに1位イギリス、2位アメリカ・・・日本は26位です。

ガバナンス、規制と法制度、取引プロセスといった評価基準があるようですが、確かに、モンゴルの不動産取引というのは透明性は非常に低いという意見も一理あると思います。まあ、株式とかも同じようなものだと思いますけど。
5年モンゴルで生活して実感したのは、結局、僕らにまで回ってくるような安易な儲け話というのは、少なくともモンゴル関連ではほとんど聞くだけ無駄と思います。騙されないように気をつけて、損しないだけで精一杯ですね。

2014年11月10日月曜日

モンゴルの景気動向(2014年11月)

先日内閣が倒れて首相不在、今週中に来年度予算案可決の必要ありという、たいへん困った政治状況ですが、今後のモンゴル経済はどうなるのでしょうか。一般的には、見通しは明るくないようです。


外貨準備が不足しているという話は、もうかれこれ2年近く前から言われていることだと思いますが、先日、モンゴル国内では、「外貨準備がとうとうなくなった」という報道がされました。公式発表ではなくあくまでうわさですが、この件はその後あまり報道されなくなりました。現在も国立銀行から正式な外貨準備高の発表は行われていません。


この報道が正しいかどうかはともかく、外貨準備が危機的状況であることは間違いないと思います。タバンロトゴイ炭鉱の石炭輸出もまだ紛争が続いており、2017年からはドル建てのチンギス債償還もはじまる状況。外貨不足は非常に重要な問題です。



このような状況で、最終的には外国の支援を受けることになると思いますが、対外債務GNP比40%以内の枠組みが海外からの支援を受ける際の足かせとなっています。新内閣は、与野党連立といううわさもあります。これは、連立内閣にして、対外債務をGNP比60%まで引き上げる法案を可決させ、危機を乗り切ろうという案があるからだといわれています。今、このあたりのネタを新聞記者たちが探り始めているようです。


体感レベルの話をすると、最近役所の予算がかなり窮屈になっている気がしています。予算がきちんと配分されていないのか、金が足りていない実感があります。給与はきちんと支給されていますが、それ以外の予算についてはかなり支出がシビアに見られるようになっています。単純に予算の支出管理が厳しくなっただけではないように感じています。

2014年11月7日金曜日

モンゴルで禁止されているビジネス

モンゴル国では、次の種類の企業活動が禁止されています。

1.阿片、法律で定める以外の麻薬の製造・輸入・販売

2.売春(幇助含む)やその広告

カジノ

4.いわゆる連鎖販売取引事業
*日本と異なり有限連鎖であっても禁止されていると思われる。


これらは非常に適切な規制だと思いますが、カジノの是非については日本でも議論になっているところであり、地理的に、中国・韓国などの外国人客を対象にすれば外貨収入を得られるメリットもありそうです。
以前、モンゴルでもカジノ法の導入が検討されたことがありますし、パチンコもありました。パチンコは、熱中してアパートを失い生活を崩壊させる人も出てくるなど社会問題化して禁止された経緯があります。これは資本主義の導入時期ということも考えると正しい判断だったように思います。
* もちろん日本でもパチンコに起因する自己破産や犯罪が多発しているのは周知のことです。先日の警察庁の国会答弁にもあったように国はパチンコが賭博であると絶対に認めませんが、明らかに換金できることは、飛田新地で売春がされていることと同様、全員が知っていることです。たとえば「寡婦の店」のようにパチンコの換金所はパチンコ店とは別だと装っていますが、明らかにパチンコ店と一体です。ただ、最近、ヘイトスピーチを行う右翼団体などがパチンコに対して異議を述べている現状もあり、パチンコに反対する議員が西村真悟衆議院議員であるなど、日本で「パチンコがおかしい」と主張すると彼らと同列にみなされかねないように感じて躊躇してしまいます。

最近では、日本企業による還元水などの連鎖販売取引が流行していましたが、詐欺のようなものだといった認識も広がっているようです。もちろんピラミッドの上位の人は多大な利益を上げています。パチンコや売春は刑法に反するものであり連鎖販売とは少し意味合いが異なりますし、実際モンゴルでは個人が行っている場合には適法なわけですが、消費者被害などいわれるときが来るかもしれません。

なお、カジノについては、法務内務省から特別許可を得れば事業として行うことが可能ですが、許可を得るのはかなり困難だと思います。








2014年10月29日水曜日

モンゴル勲章今昔

モンゴルといえば勲章!というくらい、モンゴルでは勲章がポピュラーな存在です。勲章がポピュラーといっても、いまひとつ理解していただきにくいかもしれませんが、旧社会主義国ではよくあること。日本で勲章を多数佩用するのは消防団員と相場が決まっていますが、これと似たところがあるのが旧社会主義国の勲章です。国民1人あたりの勲章発行数はモンゴルが世界一というデータもあると聞いています。


さて、そのモンゴルの勲章体系ですが、社会主義時代は、例に漏れず、ソ連の勲章体系をコピーしたものが運用されていました。
すなわち、最上位に英雄メダル*があり、その下に概略次のような勲章体系がありました。
*社会主義英雄と社会主義労働英雄の2種。宇宙飛行士英雄もありますが、これは例外。なお、モンゴルには、ナチスドイツにはじまりソ連ほか社会主義国に多く採用された母親勲章シリーズのうち、母親英雄はありません。なお、母親名誉勲章は1級、2級と若干省略された形で存在しています。

   (ソ連)       (モンゴル)
1 レーニン勲章 =スフバートル勲章

2 赤旗勲章    =戦闘赤旗勲章

3 労働赤旗勲章 =労働赤旗勲章

4 赤星勲章    =北極星勲章

このように、基本的にソ連の勲章体系に準じた体系がありました。


民主化以後、以上の体系に若干の変化が加わります。スフバートル勲章のさらに上位の勲章として「チンギスハーン勲章」という勲章が設けられました。この勲章は、これまでの勲章とは全く異なった外観で、いわゆる頚飾になっています。これは、ソ連崩壊後のロシア共和国の最高勲章として、聖アンドリュー勲章*(頚飾)が設けられたことに対応したものと思われます。
*もともとは、帝政ロシアの勲章でしたが、それを復活させたものです。

ところで、若干の変更があったものの、民主化後も、モンゴルの勲章はそれほど変化もなく、安定して運用されてきました。興味深いのは、基本的な勲章体系が旧社会主義時代そのままで維持されてきたことです*。このような社会主義国はまれです。少なくとも、勲章の中の赤い星のデザインを省略するなどの変更を加えるのが通常ですが、モンゴルでは、赤い星もそのままであり、勲章のデザインは社会主義時代のまま現在に至っているのです。おおらかな国というしかありませんし、私としては、非常に格好のよい勲章だと好意的に見ているところです。
*かつて行われていた同一勲章の複数叙勲が廃止されるなど細かい運用の変更はあるようです。


ただ、民主化後、勲章の質(物理的な材質・造り)は非常に悪くなっています。旧来は、純銀製だった勲章が合金製になり、高温で加工していたエナメルは、安価な塗りになって、全体的に非常に安っぽくなっています。これは旧社会主義国全体に言える傾向で、勲章の価値が実質的には低下しているあらわれだと思います。なお、日本や欧米の勲章も2000年ころを境にデザインの変更、製作方法の変更などなされているようですが、それほど質が落ちているようには思えません(手作り感は少なくなっていますが)。


なお、私の仕事の関連でいうと、長期間勤続した裁判官は大体北極星勲章は授章しています。ベテラン弁護士でも北極星は多いです。所長クラスになると労働赤旗勲章も視野に入ってきます。40代でこれらを授章している人もそれなりの数います(消防団と同じ感覚=功績主義ですから)。戦闘赤旗勲章は当然ながら軍人限定ですので、法曹は授章していません。スフバートル勲章以上も知りませんので、基本的には労働赤旗勲章で打ち止めということになります。それ以上の勲章としては、名誉法曹称号などがごくまれに授与されています。なお、これらは国家勲章ですが、その下のランクということになると、裁判所が発行する勲章、弁護士会が発行する勲章といったものになってきます。中堅裁判官などが授章します(私も授章させていただきました)が、これにも詳細なランクがあります。たいだい、裁判官用、上級職員用、中級職員用といったイメージで格付けされているようです。
ちなみに、外国人の最高位の叙勲は北極星という運用がされています。このあたり、外国人に与える勲章としては、北極星か、その下は友好勲章(メダル)しかないことから、上が少なく、格差が大きく、手詰まり感が否めません。なお、勲章コレクターの相場では、北極星勲章よりも友好メダルのほうが希少価値があり高価ですので、不思議なものです。


ここで、最近新たなニュースを聞きました。モンゴルで旧来の勲章体系の廃止が検討されているとのことです。個人的には、ずっと維持していただきたいのですが、むしろ遅すぎた変化なので、受け止めるしかないのかもしれません。

モンゴルにおける破産・倒産

倒産・破産について、モンゴルには、個人破産の制度はありません。個人で事業をしている人には非常に厳しい制度になっています。事業をするのであれば、法人化すべきといえるでしょう。


法人破産については破産法があります。しかし、実際にはほとんど利用されていません。なぜでしょうか?


モンゴルの企業は、資産に比べて取引額が多いことがふつうです。財務基盤が不安定なため、破たんしやすいといえます。それでは、破産手続も多いのではないかと思われるかもしれませんが、そうではありません。破たん時に資産がほとんど残存していないため、破産手続をとるメリットがないことが多いのです。そこで、実際には、法的な手続をとる例は非常に少ないのが現状です。


なお、モンゴルの制度では、日本のように裁判所が破産管財人を選任することはなく、すべて裁判官が事件処理することになります。したがって、手続には非常に時間がかかります。ある調査によれば、
平均的な破産終了までの期間は4年、訴訟費用、競売、鑑定評価人や弁護士の報酬、印紙税等を含んだ破産にかかるコストは、「不動産資産の」8%、回収率は「不動産資産の」21%というデータがあります。

モンゴルの基本的な税制

モンゴル進出に関心のある場合、税金のことが気になると思われます。
基本的な税金としては、次のものを理解しておけばよいかと思います。

① 法人税 10% 30億MNTを超える課税所得は25

② 個人所得税 10%

③ 付加価値税(VAT) 10% 
*1000万MNT以上の売り上げのある事業者から徴収

④ 不動産譲渡税 2% 
*現地では、契約書を贈与契約書にするなどして、節税することが多くなされていますが、近時は、登録機関でこういった契約書が問題とされることもあると聞きます。特にここ1年ほどですが、登録機関と課税当局の連携が進んでいるように感じます

⑤ 固定資産税 0.6%

⑥ 社会保険料 10%
*ここで社会保険料と言っているのは、正確には、社会保険料(7%)、福祉保険料(0.5%)、健康保険料(2%)、失業保険料(0.5%)の合計です。
*雇用主が代わって支払う。事業主は事業種類ごとに金額が決まっている 


税金に関する課税当局との紛争については、日本と似た制度になっています。
まず、租税不服審査部門があり、そこで、課税当局との紛争について審査がなされ、処分の取消し、修正等がなされます。不服申立は処分から30日以内に行う必要があり、不服審査は申し立てから30日以内(30日の延長あり)になされます。
不服審査に対しての不服申立ては、裁判所に行政訴訟を提起することとなります。









2014年10月27日月曜日

モンゴルにおける建設許可②

2012年に建設資材の落下や機械の不備による死亡事故が数件発生したことで、市内各地の建設工事は一時的に停止されました。一般市民の建設会社に対する抗議運動もおこりました。その結果、市内の建設プロジェクトは、落下からの保護の設備、工事現場の囲い、警告の看板設置などの安全規定違反の見直しと是正を余儀なくされました。建設許可の有無についても見直しが行われ、2014年になっても工事を再開できていない現場もちらほら見受けられます。

適正な手続と安全確保の要請は、今後ますます強くなることが予想されます。建設関係でモンゴルに進出しようとする日本企業は、これらの厳しい現状をよくふまえて行動することが必要です。

建設工事費を低額に抑えるため、中国や北朝鮮の労働者を使用することがよく行われているのは周知の事実です。実際にモンゴルの大きな建設プロジェクトの大半では中国人建設労働者が雇用されています。北朝鮮労働者を調達できるという日本人もいるようです。

これらの外国人労働者を雇用することが即座に違法となるわけではありません。しかし、違法に入国している外国人労働者が多数いることも周知の事実であって、雇用の際には、ビザの確認などが必要なことは言うまでもありません。不謹慎なデベロッパーにあっては、工事完了後に不法労働者を入国管理当局に自ら告発し、その結果、賃金を未払いのままにすることも行われていると聞いています。会社が当局に支払う罰金のほうが未払賃金よりもはるかに安いからということです。しかし、このような手法がいつまでも通用するとは思わない方がよいでしょう。


モンゴルにおける建築許可①

建設許可に関するお問い合わせが多いので、かんたんな説明をしたいと思います。

まずはじめに、全体的な建設許可の流れをご紹介します。
20の手順に分けています。( )内は標準的な時間です。最後にMNTと記載しているのは手数料です。けっこうたいへんな作業ですね。


1            市環境局に環境影響評価を申請(28日)

2            土地所有契約および建設許可を申請(15日)

3            都市開発省に予備図面の承認を申請(14日)
      60,000 MNT

4            技術委員会に予備的な図面の承認を申請(14日)

5           暖房のための技術的条件を申請(30日)
      11,000 MNT

6           上下水道のための技術的条件申請(30日) 

7           電話接続のための技術的条件を申請(30日)            

8            消防署からの最終の図面の承認を得る(1日)
      150,000 MNT

9            衛生省からの最終の図面の承認を得る(14日)
      25,000 MNT

10         建築主事から、最終的な図面の承認を得る(7日)
      60,000 MNT

11          建設工事のライセンスを取得(建築許可)(21日)

12          水利用機関からの検査を申請(2日)

13          通信サービスからの検査を申請(1日)

14          水道に接続(2日)

15          通信サービスに接続(1日)

16          技術委員会の立入検査を申請(14日)

17          技術委員会の検査(1日)

18          国家検査局の立入検査申請(1日)

19          国家委員会から建物の承認を得る(17日)

20          建物を不動産登録(14日)
       [建物価格の0.01%]MNT

* 5-7のステップは並行して行うことができる

法曹ステータス法に対する憲法裁判

モンゴルの司法改革の目玉の一つとして2012年に成立した「法曹の地位に関する法律」ですが、施行後約1年が経過しています。
この法律について、憲法裁判所で審理が行われており、先週(10月21日)中間判決が出ました。

詳細は明らかになっていませんが、報道によれば、「法曹の専門的活動とは、司法制度の実施または訴訟において人の権限・法的利益を代表して訴訟にかかわりまたは人の法律相談をすることをいう」(法曹の地位に関する法律3条1項3号) という規定が、憲法16条4項「職業選択の自由」等に違反するとのことです。

* 同時に審理されていた「法律専門活動許可に基づき、法曹は、弁護士、検察官、裁判官になることができる」(法曹の地位に関する法律19 条6項)が司法の章の規定(51.3など)に違反するとの主張は退けられたとのことです。


私は司法改革関連法案6つのうちの1つの起草委員を務めました。立法過程の拙速さは反省すべきところがあったと思います。しかし、裁判員法に続き、法曹の地位に関する法律についても憲法違反とされるのは、非常に困った事態ですね。

2014年10月25日土曜日

企業会計書式ガイドラインについて

モンゴル会計法に基づいて、「企業等で広く使用される会計基本書面の書式および記帳方法のガイドライン」(財務大臣、国家統計局長2002 年第171/111号共同決定)が出されており、モンゴルで活動する企業は、このガイドラインに従った会計書面作成を行う必要があります。会計用基本書面のない取り引きを会計帳簿および会計報告書に記載することは認められていません。

領収書や請求書の書式についても規定がありますので、モンゴルで営業等を計画されている人は、一読されることをおすすめします。

2014年10月23日木曜日

Google ストリートビュー始まる

モンゴルでも、Google マップのストリートビューの撮影が開始されるそうです.昨日開始式が行われていました。



現在でも、地方も含めてGoogle マップにはポイントごとの写真は掲載されていますが、ストリートビューができるとなると、地方=辺境という感じがなくなりますね。

2014年10月17日金曜日

FIFTA解体後のモンゴルにおける外国投資会社の設立フロー

国際協力機構(JICA)が「モンゴル投資ガイド」というガイドブックを公開していますが、2013年1月に発行されており、内容が古くなっている部分や誤りがあるように思います。
http://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/ku57pq000016s6az-att/invest_mongol_01.pdf


モンゴルに進出する日本企業が気になるのは、モンゴルでの会社設立手続だと思いますが、残念ながらこの部分の記載にも誤りが・・・そこで、今回は、この手続について解説したいと思います。FIFTA解体後の外国投資会社の設立手続について広く日本語で解説するのは、本稿が最初のものであると思います
* モンゴルでの会社設立手続については「ガイド」にも当然記載があります。しかし、驚くべきことに、「ガイド」ではすでに廃止された外国投資貿易庁(FIFTA)の制度下の手続が記載されているという問題があります。これでは全く利用者の「ガイド」になりません。さらに、この「ガイド」の誤った記載をそのまま転載したと思われる書籍等も日本国内で発行されており、誤った情報が拡散しているという懸念すらあるのです。「ガイド」の記載は早急に当該部分だけでも更新するか、閲覧者に注意喚起するための注意書きを大きく当該部分に入れるなどする必要があるように思われます(JICAが発行する以上、いくら各自で最新情報を得るようにと末尾の注意書等で書いていても、「ガイド」本文の情報が一種の公的な情報として信頼されてしまうことは事実としてあるはずです。これは、日本人向けの投資勧誘のガイドなのであり、多額の税金を費やして作成したものなのですから、定期的にフォローアップして1年ごとに版を変えて修正するなどメンテナンスされるべきだと思います)。今回のブログの内容は、主に「ガイド」101ページの修正ということになります。いかに「ガイド」の内容が現状に合致していないか、「ガイド」と比較しながら見ていただければより明らかになることと思います。

「ガイド」作成後、外国投資貿易庁の権限は、経済開発庁に移転されました。その後、さらに、現在では投資局(Invest Mpngolia Agency)に権限が移っています。投資局は内閣直属の機関です。今のところ、投資局で日本語ガイド等は発行していません。従前からの手続の変更点で不明確な点も複数あったことから、私が実際にモンゴル投資局担当者から聴き取ったのが次の内容です。。

1 大前提として、以前FIFTAが絡んでいた設立手続は、基本的にすべて国家登録局(法人登録部門)が行っています。

2 外国投資会社設立は次のような流れとなります。

【ステップ1】登録局
 登録局で設立会社の名義が登録可能かどうか確認する(黄色い設立OKの紙をもらう)
                   ↓
【ステップ2】税務局
 税務局に会社登録の申請書を提出する(申請済みの紙をもらう) 
                   ↓
【ステップ3】銀行
 銀行にて 100,000 USD以上を預け入れて、銀行口座(仮口座)を開設する
                   ↓
【ステップ?】書類準備 *「ガイド」にはこの位置に1つのステップとしての記載があるが、以下の理由からステップとはいえない
 「公証人に定款等の認証を受ける」と「ガイド」には記載がありますが、これは公証手続のことです。この手続は必ずしもこのステップでなくてもかまいません。単なる書類準備であり、本来はステップに入れるべきものではありません。*公証については、当ブログ「モンゴル・公証人」をご参照ください。http://mongolaw.blogspot.com/2014/05/blog-post_9.html
                   ↓
【ステップ4】登録局
 登録局へ必要書類を提出する。このとき登録局から外国投資IDカードを受領する。*このIDはビザ申請等に用います。
                  ↓
【ステップ5】許可後の手続
 登録局から会社設立許可証を受領する。
 その後、税務局、社会保険局への届出、印鑑の作成などを行う。

以上が、フローの概要です。設立手続には、現在、約1か月かかっていると担当者から聴取しています。

2014年10月9日木曜日

モンゴルの医療過誤訴訟

モンゴルで一つの医療過誤訴訟が話題になっています。
2014年10月8日、ウランバートルの第一審刑事裁判所で、医療過誤による死亡事件についての裁判がはじまりました。
裁判が何度も延期された著名な医師の医療過誤ということで話題になっています。

事案は、2013年3月、バヤンズルフの市民病院で帝王切開による出産が行われたが、そのとき22歳だった妊婦の体内に胎盤の一部を残したままにしたことで後日妊婦が死亡したというものです。

刑法106条2項の医療過誤致死罪でチーム5人が起訴されており、その責任者が名誉称号を持つ著名な医師です。医療過誤罪が認められれば医師資格等の剥奪および最大で3年までの懲役刑が科せられます。

2014年9月23日火曜日

ガスパン遊び

モンゴルのニュースを見ていると次のような記事がありました。


「チンゲルテイ区で、16歳から19歳の少年が、カセットコンロのガスを吸っているとの通報があり、警察が出動した」
以前には死亡事故もあったようです。


私は知らなかったのですが、日本では「ガスパン遊び」と呼ばれており1990年代から広まり始めたとのこと。ガスの吸引によって酸欠状態になり酩酊状態になるそうです。薬物としての習慣性はないが、爆発や窒息死の危険があるとのこと。


シンナーについても、ボンドなどを吸う人がいるとのことで、このあたりの少年の非行というのは日本とそっくりです。

2014年9月18日木曜日

物価上昇の実感

モンゴルでは物価が上昇していると言われます。
確かに、最近スーパーマーケットで少し多めに食料などを購入した場合、すぐに5万MNTとかいう値段になってしまいます。ちょっと買っただけでも2万MNT。昼食などもちょっとましなものを食べると1万MNTを超えてしまいます。
私が2010年にモンゴルにきたときには、もうちょっとMNTに使い出があったような気がしますが最近は財布にお金を入れてもすぐなくなる・・・


JETROが発表している「モンゴル経済概況(2014年7月)」によれば、今年6 月の消費者物価指数は前年同月比 14.6ポイント(前月比 0.5 ポイント)上昇したとのことです。小さいものだけでなく、大きな買い物、たとえば不動産価格も、ウランバートル市中心部のアパート価格は前年同期比 31.6%上昇しているようです。新しいアパートのほうが上昇率が高いとのこと。


こういったデータを見ると、なるほど実感と合っています。
買い物をするときには悲しい。
しかし、逆に、ドルを両替したときには、この実感は喜びとして感じられます。今日両替したレートが18.4程度。たとえば、500ドル両替すれば90万MNTちょっとになります。急激にMNT安が進んでいることから、かつての1.5倍のMNTが買えるという感じでしょうか。
モンゴルは、国内で生産できる物品は(肉や羊毛をのぞき)ほとんどなく輸入に依存する国ですから、MNT安によって物価上昇するのはまあ当然なわけです。たとえば比較的安定しているユーロなどでモンゴルの物価を換算すると、実はほとんど上昇していないといったことがわかりますし、むしろ、価格が為替相場の低下に追いついていない例も目についてきます(通信料など)。
以前、料金表示をMNTで行わなければならない法律のことを書きましたが、この法律などはモンゴルの物価安定化に密かに役立っているように思います。豆知識として、社会主義時代のMNTはソ連邦のルーブルと等価(固定相場)だったとのこと。そんな時代もあったんですね。

2014年9月17日水曜日

テレビ番組の収録

先週、テレビ番組の撮影がありました。3月にインタビュー番組に出演して依頼ですので、約6ヶ月ぶり。少し緊張してしまいました。


モンゴルにきてからニューズなどを入れると数え切れないほどテレビ番組に出演させていただきました。たまたま自分のやっている仕事がモンゴルの司法改革に関連するものだったことから、出演の機会も多かったわけですが、日本ではテレビ・ラジオなど出たこともなく、初めの頃はかなり緊張しました。何度も出ているうちに、今では特にカメラを意識せずしゃべることができるようになりました。モンゴルのテレビ業界についても日本と比較すればいろいろと興味深いものがあるのだと思いますが、私は日本のテレビを知りませんので、違和感もなくこんなものかという感じで出演させていただいています。テレビに関連する法制度としては、昨年、モンゴルのマスコミ法を改正する動きがあり、一部資料収集などに協力させていただき、意見も申し上げました(内容はあえて伏せます)。


今回収録した番組は今月末に放映されるそうです。自分の出演した番組を見ることは、恥ずかしさもあって1、2度しかありませんし、家族も私の出演などには関心がないので見てくれることもないのですが、時々、あまり知らない人からも「テレビ見たよ」と言われることもあるので、一応、言いっぱなしでなく、きちんとした話をしているつもりです。

2014年9月13日土曜日

法学部カリキュラムの作成

現在、モンゴルの法学部カリキュラムの作成をしています。今日も、国立大学、オトゴンテンゲル大学、国立法律研究所の学部長、学者、研究員らと打ち合わせをしました。


学部3年生以降の法律選択科目である「ADR」の2単位の授業ですが、これまで、モンゴルでは、「仲裁法」以外のADRに関する大学単位は認定されていなかったことから、全く新しい取り組みといえるでしょう。


「標準カリキュラム」と「DVD付き標準テキスト」の作成を予定しており、各大学は、この標準カリキュラムと標準テキストを利用すればすぐに講義を開講することができる仕組みになっており、すでに、モンゴル国立大学とオトゴンテンゲル大学の法学部での採用が内定しています。


詳細な講義計画案がほぼ完成したことから、後は、これにあわせてテキストを分担執筆し、DVDの撮影を行う予定です。年内の完成を目指しています。こういった形として残せるものでモンゴルでの法教育に携わらせていただけるのはとてもうれしいことです。

年齢を意識する

 高校の同窓会の案内が届いた。卒業後30年以上経ってはじめての同窓会である。同級生は皆50歳を超えている。生憎、所用で参加できないのだが、いまだに14歳のときから考えていることはほとんどおんなじで年齢を意識することなどほとんどないぼくも、ああ、おじいさんになったのかとしみじみする...