2017年9月22日金曜日

モンゴルにおける調停制度 月刊誌「JCAジャーナル」2017年9月号

月刊誌「JCAジャーナル」2017年9月号に、モンゴルの調停制度に関する論文が掲載されています。ご関心のある方はご覧ください。



2017年9月19日火曜日

スフさんのこと

バータルスフさんが亡くなったときいた。ぼくらはスフさんと呼んでいた。

スフさんは、ちょっと困ったおじいさんで、酒を飲んで「金をくれ」と電話してくる。
「二度と電話してくるな!」と言って喧嘩になった。
年金暮らしでお金が必要だというので、時々翻訳の仕事を回してやってもらっていた。翻訳はちょっと古くさい日本語だがきちんとしている。酒を飲んでないときの仕事ぶりは、結構きっちりしている。ロシア語と日本語が上手で、かつて外務省に勤務していた。日本やイギリスで勤務していたこともある。外交官というとエリートだが、そんな仕事も、酒のせいで失ったと言っていた。酒以外の楽しみは釣りで、この前釣りに行ったとか、日本の釣り道具はいいとかいう話をよくしていた。

正直、スフさんのことは、ここ数年、忘れていた。かつてのようにオフィスにスフさんが仕事がないかと訪ねてくることもなくなったし、翻訳の仕事も、頼みやすい若い人にやってもらうようになっていた。
久しぶりにスフさんのことを聞いたと思ったら、それが訃報だった。今年はじめのことだ。冬にスフさんが釣りに行って、夜ゲルに泊まったのだが、ウォッカを飲んで泥酔し、小便かなにかで外に出て行き、そのまま帰ってこなかった。翌朝、ゲルの近くで硬くなったスフさんが発見された。道に迷い寝てしまったらしい。
酒に酔って水面に映る月を捉えようとして船から落ち溺死したという李白の最後に似ていなくもない。

2017年8月19日土曜日

モンゴルの国際商事仲裁 月刊誌「JCAジャーナル」2017年8月号

月刊誌「JCAジャーナル」2017年8月号に、モンゴルの国際商事仲裁に関する論文が掲載されています。ご関心のある方はご覧ください。


2017年8月15日火曜日

8月無料法律相談のご案内

下記、2017.6.29付け「モンゴル通信」(国営モンツァメ通信社)の記事にもありますように、来週、無料法律相談を行います。ご利用をお待ちしています。

2017年7月14日金曜日

合格祝賀会

某司法試験予備校から、司法試験の合格祝賀会にご招待をいただいた。
残念ながら、どうしても日程調整がつかずお断りさせていただいたのだが、今回、おそらく生まれてはじめて「来賓」という形でご招待をいただいたので少し戸惑ってしまった。

もっともモンゴルではいろんな機関や式典からご招待いただくことは、仕事の一つといってもよいくらい非常に多かったのだが、日本では、僕は凡百の有象無象の1人である。多数の招待客の1人としてならともかく、特に来賓として呼んでいただけるような社会的地位も卓越した能力もないことは自分でわかっている。
僕の中での「来賓」イメージは、国会議員とか市長とかPTA会長とかそういう人たちだ。そう思うと、名前負けというか、来賓、には躊躇してしまう。さらに、今回は司法試験合格祝賀会とのことだったが、僕のような司法試験の成績も決してよくなくて弁護士としても優れていない、何も分かっていない人間が何を言うことがあるのだという気持ちもある(どっちかというと反面教師だろう)。

有り難いことに、僕は最近いろいろな場所で講師などをさせていただくことが多いのだが、考えを進めていくと「お前は何を分かってるねん。何を人に偉そうに教えることがあるねん」と、そのへんのことまで自問自答してしまった。もちろん、これは確信を持って言うのだが「私は何も分かってない。何も教えることなど持っていない」が正解なのである。

であるならば、せめて、私の話や講義を聞いた人たちが、少しでも何か前向きに面白い生き方を見つけるきっかけになっていただくように努力しようと、そう思うのだ。

*こういうことを言ったり書いたりしていると「自虐的ですね」とか言われるのだが、自虐ではなくて真実なので間違えないようにして欲しい。あえて言うのであれば「正直ですね」と褒めていただければ嬉しい。
そういえば、ビジネスパーソンは、会社で上司に「わかりません」と言ってはいけないという話を聞いた。私など、わからないことだらけで、法律相談なんかでも当然のように「今わからないので調べて返事します」とかやっているのだから驚いた。わからなくても「私の見解では●●です」と回答するのが正解、とのことだったが、訳のわからない人間が訳のわからない主観を述べたりしたら、状況はますます混沌と化すだけだと思うのだが。よくわからないが、つまり、正しい答えなんか求められていない、世の中、みんながなんとなく気持ち良くなることが重要ということだろうか。

2017年6月22日木曜日

「これからの司法と法曹のあり方を考える弁護士の会」

勝手にFAX送りつけてくるだけで、あまりいい気持ちはしないわけだが、それが「弁護士を減らせ」という団体からのものであれば、よりむかつく。

この前来ていたFAXには、司法試験合格者を1000人以下にしろと書いてあった。
理由は、弁護士が増えると就職難、OJTができなくなる、質の低下、優秀な人材が法曹にならないといったことを書いている。

そもそも、法曹が優秀であるという前提が彼らの大きな間違い。おごり高ぶりだ。少なくとも私は優秀な人材ではない。これは、自分のことであり間違いないことだ。法曹が優秀でないといけないという、そもそもの議論の前提がおかしいんだ。武士は立派な人間だみたいな話で、そんなの人によるだろうし、それで十分だろう。

OJTにしたって、法科大学院修了後、司法修習を1年もかけて、しかも給料まで支給して修習専念を義務付けていながら、それでも即時に独立して仕事するのがダメというのは、そもそも求めているもの、想定している仕事のクオリィティがおかしい。弁護士全員に十分な熟練した職人技を求めるなどありえないだろう。

要するに、言っていることが今のシステムと一切一致していないのだ。だから、昔に戻せと言っているのだと思うが、貴族制度を復活しろみたいな話であって、話し合いになんかなれっこないレベルの議論である。くだらなすぎる。これをみても、やっぱり法曹のレベルは低くなってるな。


2017年6月9日金曜日

在モンゴル日本国大使館での法律相談のご案内

日本人弁護士による日本企業支援のご案内
 
 在モンゴル日本大使館では,昨年度に引き続き,平成29年度においても大使館内にて日本人弁護士による日本企業支援を実施致します。
 具体的には,当地で活動中或いは当地での事業開始を検討している日本企業に対し,月1回,1週間(5営業日)10時から16時の間(昼休憩13時~14時除く),日本人弁護士による無料法律相談サービスを以下のとおり提供させていただきます。
 法律相談にお越しの際は事前に「在外公館における無料コンサルティング利用規約兼承諾書」の内容をご確認いただき,相談日当日に承諾書に署名,捺印をお願いしたいと思いますので,予めご承知おきください。
 
【日本人弁護士による日本企業支援(無料法律相談)】
今月 6月13日(火)~16日(金),19日(月)
10時~16時(昼休憩13~14時除く)
 

「法整備支援論」in 関西大学法科大学院

2017年6月9日、関西大学法科大学院「法整備支援論」で講義をさせていただきました。
モンゴルでの法整備支援の話が中心でしたが、法整備支援の世界にもぼくのように「むやみに熱くない」人がいることを理解していただければうれしいです。


2017年6月7日水曜日

「接待」ですらない国際協力

私は昨年出版の著書のなかで、JICA専門家の仕事について「接待」であると書いた。
しかし、最近さらに考えが変わった。JICA専門家やJICAボランティアの仕事というのは(ボランティアは「仕事」ではないが)、「接待」ですらない。

典型的なODA、国際支援のイメージというのは、貧困や治安の回復であったりすると思う。アジアの貧しい農村で農作業の改善を行ったり、医療の普及を行ったりしているというのが、JICAの青年海外協力隊や専門家に対する一般のイメージだろう。

私は、モンゴルの調停は、このようなイメージではくくれないところに違和感を感じ、接待に徹しようと考えた。つまり、モンゴルの調停というのは、生活レベルの最低限の底上げではなくて、なくてもよいがあればより便利なモノの提供だと考えたからである。

今年2017年の春募集のJICAボランティアのポスターがある。私はこれをはじめミャンマーのJICA事務所で見たのだが、その後、地下鉄の中など国内でもあちこちで見る機会があった。

お分かりのとおり、ブータンの卓球隊員である。さて、ブータンに卓球というのは、これはもちろんあってもいいのであるが、ボランティアとは何かという問題に直面しないのかと疑問になる。必要とされる程度の問題であり、それは、医療等と比較するにしてもあくまで相対的なものであるはずだが、それにしても、あまりに露骨すぎないだろうか。これでは相手国が望むことの提供、つまり「接待」になっているかどうかすら疑わしいだろう(一部の人が喜んでいればそれでよいのかという問題でもある)。「ブータン」と「卓球」の取り合わせが、すくなくとも私には理解できない。

これは、もはや、日本の若者に対して、途上国に「ボランティア体験をさせていただいている」、「途上国という場を提供してもらっている」といってよい。
結局、せめて相手国のためであること、せめて接待であるところが正当化の大きな要素であったはずのODAだが、相手のためどころか「自分達のため」に税金を使い、それを「国際貢献」と自画自賛している。ODAの金に群がる専門家やコンサルタント、日本企業と同じことで、いまさらなのかもしれないが、非常にひっかかる。

もちろん、このポスターには深い意味が織り込まれているのかもしれないが、少なくとも、私には「?」と感じられ、思わず笑ってしまうとともに、いろいろと考えさせられたのだ。

調停人再研修

2017年5月27日、モンゴル裁判所評議会主催の「調停人再研修」に岡英男が講師として参加しました。首都郊外の研修施設で行われ「日本における最新の調停」というタイトルで90分程度の講義を行いました。


2017年5月12日金曜日

金銭債務調停 司法省パンフレット(昭和7年)


昭和7年、金銭債務臨時調停法。この法律は、金銭債務についていわゆる強制調停を定め、合意不成立の場合には調停に代わる裁判ができる。債権の種類は、金額1000円以下を原則とし、地代・家賃・金融機関の債権等には適用されない。裁判によらず強制的に債権の条件変更をされることから、日本国憲法に違反するとされる。

2017年5月11日木曜日

在モンゴル日本国大使館での法律相談のご案内

2017年5月16日(火)~23日(火)まで、在モンゴル日本国大使館で無料法律相談を行います。詳細は下記リンクをご覧ください。ご利用をお待ちしております。

http://www.mn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/170508nihonjinbengoshi.html

2017年5月9日火曜日

「マガジン9」掲載

私の伊藤塾での講演が

マガジン9

というWEBマガジンに掲載されています。

ご関心のあるかたはご覧ください。

(憲法9条を守れとか、そういった思想は私にはないのですが、それとこれは別です)


2017年4月29日土曜日

日本の司法は清廉か?

ということで。まったく自分の損にしかならない投稿を続ける訳です。
よく法整備支援業界では日本の司法の清廉性は類を見ないと言って自慢している。
私はこれにものすごく違和感を持っている訳だ。

ある人は、江戸町奉行の月番制(南北月交代で業務)に起源があるのではとか言っている。月番で2つの奉行所が競争していたから賄賂がない?馬鹿言うなよ。
あり得ない話で、江戸の賄賂については、田沼時代を出すまでもなく常識であり、江戸町奉行は賄賂しまくって渡り鳥しているはずであるし、与力以下は職業固定されているものの、こちらも上手にまたは悪辣に賄賂をとっていたことは、たとえば、三田村えん魚とか佐久間長敬でも読めばすぐにでもわかる話のはずだ(佐久間に至っては与力である。丁寧に難しい民事事件での賄賂の取り方も教えてくれている)。

まあ、こういった珍説・妄言は無視するとしても、まず、日本とどこを比較して日本が清廉だと言っているんだという疑問もある。比較対象はイギリス、アメリカといったいわゆる先進国であるべきで、その中で日本は必ずしも特別裁判官が清廉というわけではないだろう。戦後「収賄罪」で有罪となった裁判官は、被告関係者から現金などを受けとり懲役1年(執行猶予3年)となった名古屋地裁判事、刑事被告人と情交したことで懲役1年の実刑となった小倉簡裁判事がいるらしいが(板倉宏「賄賂の話」中公新書)、それ以外にも、収賄がらみで弾劾裁判になった事案からだけで引用しても、現地調停で供応を受けた厚木簡裁判事(罷免)、ゴルフ接待等を受けて収賄で逮捕(起訴猶予)された東京地裁判事補兼東京簡裁判事(罷免)がいる。いかにもハードルが高そうな弾劾裁判でもこれだけるのだから、実際は他にもたくさんあるに違いない。明らかにならないだけである。

要するに、日本が特別賄賂がないわけでもないだろうし(他の先進国も同じようなもの)、それを特段自慢することでもないだろうと思うのだ。日本も社会が発展途上の段階では、おそらくものすごい数の賄賂があったはずである。

日本は、元々、元来、賄賂文化である。聖徳太子の17条憲法を読めば分かる。その5条を訳すと次のとおり。「五にいう。官吏たちは饗応や財物への欲望をすて、訴訟を厳正に審査しなさい。庶民の訴えは、1日に1000件もある。1日でもそうなら、年を重ねたらどうなるだろうか。近ごろ訴訟に携わる者たちは、賄賂をとることが常識となり、賄賂をみてからその申し立てを聞いている。裕福な者の訴えは石を水中に投げ込むようで容易に聞き入れてもらえるのに、貧乏な者の訴えは水を石に投げ込むようで全然聞き入れてもらえない。貧乏な者たちはどうしたらよいかわからずにいる。これは官吏としての道にそむくことである」。まだまだ実例は挙げられるのだが、国際協力に関係する法律家たちは、こういった歴史的事実に対してまったく知識が欠けているうえ、自分の経験とイメージだけから勝手に日本の司法の清廉性を信じ込んで、他人(外国人)に語っていることが多すぎると感じている。善意の馬鹿でありまったく始末に悪い。

2017年4月25日火曜日

贈り物

法整備支援などで途上国に赴任している専門家は、現地の人々からいろいろな記念品をもらうことになると思う。中には勲章やメダルをもらう人もいることだろう(大使館職員や上場企業の現地支店長などで途上国に赴任している人もほぼ同じだ)。
気になるのが、その受け取り方というか、どの程度真に受けるかという話。

要するに、これらの歓迎、賞賛、御礼を本心からのものと受け止めて「オレはすごいことをやった」「現地の人に好かれている」「国際協力の本懐」とか考えるべきか、それとも一歩引いて「これはこれでありがたいが、一応の社交辞令。本音の付き合いは、また別」と考えてさらに人間性を磨くかという問題である。

思わず、これまでの成果、数年間の現地勤務の集大成、としてはじめの方向で納得・満足してしまいそうだが、できれば避けたい(もう定年などで二度と現地に行かないといった場合は別として)。あくまで一時の通過点として、「これはこういうお約束、あくまで社交辞令」程度で受け止めるのがよいのではないかと思う。そもそもこれはあなたにくれたものというよりは、あなたの所属する日本国や、JICAや、商社や、企業に対してくれたものだというくらいに考えておいたほうが間違いがない(もちろん、このような賞賛をもらえる立場にあるにも関わらず、おざなりなお土産しかもらえない人も多いから、そういう人よりはましである。でも、それなりの立場にいつつ評価されない人っていうのは、要するに、本当にクズですから、そもそもあなたと比較すべきではないのも事実だ)。

このように考えるのは、私は旧日本軍の満州進出の資料などを結構読んだり集めたりしていて、当時満州に派遣された軍人、官僚などに対して、現地の人々が大歓迎し、離任に関しては涙ながらに別れを惜しみ、お約束のように立派な記念品を贈っていた事実を知っているからである。これらは一面現地の人の本心であったかもしれないが、それはあくまで一時的なもので、または「お約束」で、本心から日本支配(実質は支配だろう)を望んでいたわけではないというのが私の見方である。このうちの何人かは、日本の敗戦後、現地の日本人に対して牙をむいたはずである(そのことが良い悪いといった問題を言っているのではない。こうなるのは当然の帰結である)。
銀などでできており、一見大変立派な「感謝 ○○殿 敬贈 ○○(送り主)」といった感謝盾や、メダル、こういったものがいかに多いことかは、残っている古物の数からしてもわかりやすい。それらが大切に保存されているということは、現地の人のうまいやり方が図に当たっているというか、当時から今までお人好しの日本人が多数いることの証明でもある。

要するに、こういった記念品は、拒絶する必要は一切ないのだが、個人レベルでは珍しいお土産程度に考えて、あっさり流しておいたほうがいいと思ういう話だ。
それではなぜお前はもらった勲章やメダルや表彰を事務所WEBサイトなどに堂々と書いているのかと言われると、これは、どうでもよい学歴や資格を記載するのと同じで、そういったものが好きな人たちの気を引くためということだ。京大卒とか弁護士資格とか、ましてや勲章とか、そういうものを本気で売りにしている人がいたらそれはかなりレベル低いし危ういが、そういうレベルの低いことが好きな人が多いのもまた事実なのだ。大衆を誘う広告である以上、テレビなどと同じで、最低レベルにターゲットを合わせるのは当然のことだろう。ぶっちゃけ過ぎだが、こういう誰にでも明らかな事実について、分かってるくせに誰も正直に言わない。こういうところも、私がむかついているところの一つだ。


2017年4月23日日曜日

大阪大「法と開発」での講義

2017年4月20日、大阪大学国際公共政策研究科「法と開発」の授業で、ゲスト講師として講義をしてきました。
モンゴルの法整備支援についてお話させていただきました。
ご聴講いただいた皆様、ありがとうございました。


2017年4月13日木曜日

何でも面白がれと

講演会の枕原稿です(2017.4.8伊藤塾)。このとおりには実際は話せていませんが、だいたいこんな話をしている。

「私なんかの話を聴きに、これだけの皆さんに集まっていただきまして、感謝です。

私は、人の話を聴くっていうのには3つほどパターンがあるように思います。1つは、嫌々聴く。聴かざるを得ない。上司の説教とか、まあ、学校の授業とかがそうですかね。これはこれでしょうがないというか、意味はあるわけですが、2つめは、ためになりそうだから聴く。そういう人もいらっしゃいます。3つめは、面白そうだから聴くとなる。

2つめと3つめは似ています。それぞれ自分の利益のために聴いてる。しかし、2つめの聴き方は、私はよくないと思う。ためになるかならないか、大抵の話というのは、それがすぐに役立つわけではありません。また話す人、先生が間違っていることも往々にしてあると思います。その場合、ためになると思ってかえってためにならないかもしれない。
どうせなら、3つめの聴き方。面白がるのがよいのではないかと思います。言い方を変えると、これは私のこれからの話にもつながるのですが、2つめの、ためになろうとして聴くのは、貪欲です。欲深い。それに対して、面白がって聴くのは、陽気なだけで欲がない。運が向いてくるのも2つめよりは3つめの聴き方だと思います。

話は変わって、私のほう、つまり話し手のほうからの考えを述べますと、2つめの、ためになるような話というのは、まず、私できません。私は人様に教えられるような人間ではない。基本的に無理な話、キャパを越えてるのであります。
ただ、3つめの面白い話にしようとは常時心がけています。成功しているかどうかわかりませんが。せめてわざわざ私なんかの話を聴いてやろうという人には、面白がって貰おうといつも思っている。それは、この講演会だけでなく、大学の授業でもそうですし、仕事の現場でもそうです。できるだけ面白くなってもらおうと考えて弁護士の仕事すらしている。

笑いは、「緊張と緩和」とか言いますが、人を面白がらせる方法というのは、要するにギャップです。笑いに限らず人に変化を起こさせる要素というのは段差、ギャップだと思います。具体的には、私の話を皆さんに分かりやすく楽しんで貰おうとすれば、人の悪口を言うか、自分を落とすか、それくらいの方法がまあはじめに思い浮かぶ。私は「おまえがガンバれよ」という本を書いたのですが、その中で、JICAの批判と、自分を落とすことの2つをこの本の中でやりました。意識的に。その両方ともがJICAには気に入らなかったようです。悪口を聞き流せないのは、馬鹿な優等生だからですが、私が自分自身を落とすことについても、専門家が自分を卑下する、自虐的なというだけではなくて、要するに、自分たちまで落とされたような気持ちになってる。馬鹿ですね。

ちなみに、自分を落とすとき、私は本心からそうしています。それは笑いを取るためでもあるが、自分に対する反省でもある。お前は、何ほどの者なのか、何でもないではないか。たんなる馬鹿な小太りのおっさんではないかという気持ちを常に持っておきたいと思っています。

で、「おまえがガンバれよ」という題名ですが、これは、私は、要するに「ガンバるな」と言いたかったんですね。無理してガンバったってろくなことにならないよ。引っかき回して悪くしてるだけだよ。せめて自分の無力さに自覚を持て。そう言ってる。ガンバらないでもらったほうが多分世の中はうまくいったりする。自戒も込めてそう言っている。そして無理なガンバりの代わりに来るべきなのが、なんでも面白がる精神です。

今回の講演会でも、私は単なるモンゴルのお話をするだけでなくって、話のテーマを決めようと思いました。つまり、今回のテーマは「何でも面白がれ」ということです。なるだけ面白がって、何事にもおもしろみを見つけながら生きれば、楽だし、成功する。これが私の言いたいことです。」





2017年4月12日水曜日

席順

どうでも良いといえないのが、上座下座のマナー。
私は個人的にはほとんど気にしないが、気にする人がいることも知っているので、気をつけてはいる。

うちの事務所は、構造上、会議室(といってもパーテーションで区切っているだけ)の入り口に近い席に依頼者や来客に座ってもらうことが多い。これは、入り口近くが下座というマナーに反するようも思えるのだが、窓に対面していてながめがよいのと、私の移動には入り口近くに座ってもらうほうが都合がよいことから、そうしていただいている。「こちらにどうぞ」と勧めるのだが特に断ってはいない。マナーが分かってないなと思われているかもしれない。一言添えるべきか。

分からないのがエレベーターの(立ち位置ではなく)乗り方である。
よくあるのが、エレベーターのボタンを押して、上位の人に先に入ってもらう。そして出るときは同じく先に出てもらう。こういう人が多い。私はこれは間違ってるのではないかと思う。危険な乗り物は、下位者が先に乗り込み、上位者を先に出すのがマナーではないか。海軍でカッターなんかの乗船順はそうではなかったかと思う。だから、本来、下位者は先にエレベータに乗り込んで、中から「開く」ボタンを押すべきではないかと思うのだがどうだろう。
もっとも、最近では、飛行機に乗る際も、上位の席から先に乗り込んでいる。ということは、上位者が待たずに先に入るというのがスタンダードなのか。

このようなマナーについては、共通理解がないと思わぬ誤解を招くなど困ることになる。そんなこと気にしないよという人が大半だろうが、弁護士なんかには気むずかしい人も多い。やっぱり気になるものだ。

2017年4月11日火曜日

ファンレター

「おまえがガンバれよ―モンゴル最高裁での法整備支援2045日―」を出版後、それなりに反響はあったりするのだが、先日の講演会では、写真を一緒に撮ってくれという人や、拙著を持参してサインをしてくれという人(東北から東京まで来ていただいたとのこと)もいらっしゃった。私などがおこがましいと思うのだが、一緒に写真に写ったりサインしたりすることで喜んでいただけるのであれば喜んでやらせていただきます。

今日は、拙著にサインをしてくれということで、事務所まで本をお送りいただいた。もちろん、ご要望どおりサインして送り返すのだが、手紙が添えてあって、その内容が嬉しかったので、少しご紹介させていただきたい。

この方は、私のサインをみてご自分の勉強の励みにしたいと言ってくださっている。ありがとうございます。こんなものでも励みになるのであれば、いくらでも書かせていただく。
講演を聴いていただき、「合格できたら自分がやってみたいことはこれだ」と感じていただいたらしい。法制度の設計に携わりたいという希望をお持ちのようだ。私の講演を聴いて「改めてがんばってみよう!」という気持ちになったと書かれてあって、私のお話が人に重大な影響を与えていることを知り、自分でも驚いた。

今回の講演で私が言いたかったことは、「なんでも面白がれ」ということであり、面白が
ったら勉強も仕事も何でもうまくいくという内容だったのだが、私の言いたいことを的確に理解していただき、前向きなお気持ちになっていただいたとのことで、率直に嬉しかった。頑張らなくてもいいけど、頑張ってください。ご成功をお祈りしています。

「帰省」あれこれ

伊藤塾の講演をしてきました。来ていただいた方ありがとうございます。

一つ面白いというか、感慨深いことがありまして、私の日頃の言動が気に入らない人はこの後の文書は読まないでいただきたいんですが、伊藤塾のインターネットの紹介文で私の経歴について「実家に帰省」って書いてある(末尾リンク参照)。これおかしいだろ。経歴に「帰省」って意味わからない。私が原稿出したときは「寄生」で出した。まあパラサイトってな意味で、面白くしようと思ってのこと。
それで担当者に「間違ってますよ。どうでもいいところですけど念のため」って連絡したんですよ。そのお返事が「塾生から『講師の先生に対して寄生って失礼だろ』って苦情があった」と。それでやむなく漢字を変えたと。そういうことらしい。
「すみません」と仰るから、「いやいやこちらこそ申し訳ございません」と。本当にご担当者には大変ご迷惑おかけしました。恐縮です。私の悪ふざけのために嫌な思いさせて。お客様ですからご対応はしょうがないというか、無理のない範囲で妥協いただきましてありがとうございました。

しかし、私にとっては、その人はお客様ではないんで。私、伊藤塾の経営者でも職員でもないですからね。だから言わせてもらうけど、こういう苦情を出す人というのは、まあ、私はキライ。私の話なんか聴いていただかないほうがいいんじゃないかと思う。聴いてもわからんだろ。なんで私に公共放送みたいな物言い期待してるねん。そういうの求めるならJICAの講演会とか行ったらと。すごいあたりさわりないで。一部の法曹というのは法曹になる前から法曹なんですね。まあ、ここまで馬鹿だと救いようがないよな。そりゃ話通じないわ。

だからといって話のレベル下げるか?底辺までわかるように。ここで下げたくないってのが私のどうでもよいプライドなんかな。結局、私が反省すべきだったか。・・・掘り下げていくと結局負の感情ってのは自分に返ってくる。
とまあ、そんな感じで愚痴というかぐるぐる気分が悪いわけだ。


※この文書はもともとfacebookに書いたのですが、facebookは削除してこちらに移動させ、題名も付けました。いろいろと理由はありますが、むしろfacebookよりもブログのほうが自由な発言が可能であるという認識での行動です。

2017年4月6日木曜日

伊藤塾「明日の法律家講座」2017年4月8日(土)のご案内

伊藤塾「明日の法律家講座」2017年4月8日(土)で講演します。ご関心のある方はご参加をお待ちしています!
【タイトル】モンゴルでの法整備支援2045日~JICA専門家の仕事と長いその後~
【日時】2017/4/8(土)18:30~20:30
【講師】岡 英男 氏(弁護士、「大正法律事務所」主宰)

【場所】伊藤塾 東京校(渋谷)〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-5
【受付番号】03-3780-1717

【受付日時】  月~金 11:00~20:00 土日祝   9:30~18:00


ミャンマー訪問(3/30~4/4)

ミャンマーを訪問しました。調停に関するワークショップの仕事です。主にミャンマーの裁判官を対象に研修を行いました。関係者の皆様ありがとうございました。



2017年3月24日金曜日

福岡弁護士会の書評

福岡弁護士会のWEBサイト
拙著「おまえがガンバれよ―モンゴル最高裁での法整備支援2045日」(司法協会)
をご紹介いただいています。ありがとうございました。



「国際開発ジャーナル」2017年2月号書評

国際開発ジャーナル2017年2月号  (journal-201702-01)


国際協力の専門誌「国際開発ジャーナル」2017年2月号で、
拙著「おまえがガンバれよ―モンゴル最高裁での法整備支援2045日 ―」(司法協会) 
をご紹介いただいています。
ありがとうございました。



2017年3月13日月曜日

伊藤塾「明日の法律家講座」2017年4月8日(土)のご案内

伊藤塾「明日の法律家講座」のご案内 

ご関心のある方はご参加をお待ちしています!
東京校 第258回
【タイトル】モンゴルでの法整備支援2045日~JICA専門家の仕事と長いその後~
【日時】2017/4/8(土)18:30~20:30
【講師】岡 英男 氏(弁護士、「大正法律事務所」主宰)
【場所】伊藤塾 東京校(渋谷)
【受付番号】03-3780-1717
【受付日時】 
 月~金 11:00~20:00
 土日祝   9:30~18:00
【住所】〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-5

2017年2月20日月曜日

「モンゴル法最新情報」(メルマガ)の公開

「モンゴル法最新情報」は、大正法律事務所が、モンゴルのDe Jure Partners LLPと共同して製作しているメールマガジンです(2016.9創刊)。

「モンゴル法最新情報」は、毎月1~2回、モンゴル日本商工会会員限定で配信中ですが、このたび、バックナンバーを大正法律事務所のWEBサイトでも公開します。

<目次>
6号(2017年2月10日号)
<内容>
法人所得税法の改正
関税免除法の改正
モンゴルのツァガーンサル(旧正月)
モンゴル法の注意点-解除に伴う原状回復義務-

5号(2017年1月19日号)
<内容>
国際条約に関する法律の改正
大統領選挙法案の差し戻し
モンゴル法の注意点-契約解除手続-

4号(2016年12月22日号)
<内容>
世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書を批准する法律
労働法改正
最低賃金法改正法施行
外国労働力・専門家比率に関する閣議決定ほか

3号(2016年11月11日号)
<内容>
賄賂に対する国内プログラム
新不動産担保ローン規則

2号(2016年10月11日号)
<内容>
気候変動に関する国際連合枠組条約を批准する法律
法人所得税法改正案

1号(2016年9月14日号)
<内容>
国防関連法
改正刑法・刑事訴訟法
家庭内暴力法
動産担保法、債権担保法

弁護士白書<2016年版>コラム

いつ原稿を書いたのか忘れていたが、思い出して調べてみたら本が出版されていた。私のコラムも特集記事(12頁)に掲載されているようですので、関心のある方はご覧ください(脱字があるな)。




2017年2月6日月曜日

書評「月刊弁護士ドットコム」2017年2月号

「月刊弁護士ドットコム」2017年2月号(vol.17)で、
「おまえがガンバれよ-モンゴル最高裁での法整備支援2045日-」(2016, 司法協会)
編集部のオススメ!書籍としてご紹介いただきました。ありがとうございます。




2017年1月28日土曜日

モンゴル・日本法律家調停人協会のご紹介


モンゴル・日本法律家調停人協会という協会が2014年から活動している。

現在は、主に、モンゴルで、懸賞論文などを募集して法律分野の研究支援を行っている。
これまでは、モンゴル・日本ともに、限定された会員だけで運営しており、新規会員はほとんど募っていなかった。
今年からは、モンゴル・日本ともに、一般からも広く会員を募集して、会の運営も強化していこうと考えている。

モンゴルの法律に関心がある人、モンゴルの法律実務家や研究者との交流を深めたいと思っている人は、ぜひご参加をお願いいたします。お気軽にごお問い合わせください。

2017年1月23日月曜日

大阪弁護士会特別企画「ロールーム・リレー講座」のお知らせ


ロースクール生のみなさま(それ以外の方も)

どんどんご参加ください!



イベントのお知らせ

大阪弁護士会特別企画「ロールーム・リレー講座」のお知らせ

3月4日(土)に大阪弁護士会特別企画「ロールーム・リレー講座」を開催します。
 第1部 刑訴法改正、取り調べの可視化を中心に(仮題) 講師:小坂井 久 弁護士(小坂井法律事務所)
 第2部 法整備支援(モンゴル体験談)(仮題) 講師:岡 英男 弁護士(大正法律事務所)
 第3部 企業価値の向上に関わる会社法の問題 講師:渡辺 徹 弁護士(北浜法律事務所・外国法共同事業)
日 時2017年3月4日(土)午後1時~午後5時
会 場
大阪弁護士会館 会議室
(大阪市北区西天満1-12-5) 地図
※会議室は、当日、会館1階の掲示でご確認ください。
対 象
ロースクールの学生(学年を問わない)
申込方法メールまたはFAXにて受付。
詳細は案内チラシをご覧ください。
申込締切2017年2月17日(金)

年齢を意識する

 高校の同窓会の案内が届いた。卒業後30年以上経ってはじめての同窓会である。同級生は皆50歳を超えている。生憎、所用で参加できないのだが、いまだに14歳のときから考えていることはほとんどおんなじで年齢を意識することなどほとんどないぼくも、ああ、おじいさんになったのかとしみじみする...