2014年4月30日水曜日

モンゴル・運転免許の取得

私は運転が苦手です。AT限定免許を保有していますが、自動車で公道を運転したのは免許取得直後の数回しかありません。
その数回のうち80%くらいの割合で「市場の雑踏に入り込む」「電柱に接触する」といったトラブルを経験しています。今でも、車を動かそうとすると、なぜか後部トランクを開けてしまったり、ワイパーが突然動き出したりという感じです。これがかわいい女性なら、ドジっ子として評価できるのですが、あいにく汚い中年のおっさんですので批判しか受けません。このような状態ですので、ウランバートルの激しい道路状況で運転するのは危険だと思い、モンゴルでは一切運転していません。
写真:自動車が行きかう中央郵便局前の交差点。このあたりにはいつも交通警察官がいます。
 
 
もっとも、仕事で地方に行くことが多いなど、自動車を運転の必要がある人もいると思います。
モンゴルの運転免許も、日本と同じく自動車学校に通って取得するのが一般のルートです。費用は学校によりますが日本円で3万円程度でしょうか。学校は3ヶ月かけて路上教習と学科を勉強し、最後に交通警察の免許試験を受験します。交通警察の試験では、学科と実技の2種類に合格しなければなりません。試験の合格率は高く、おおよその人は最終的に合格できているようです。
モンゴルの運転免許は、バイク、普通自動車、大型車、特殊車両など何種類かに区分されており、運転する車種に応じた免許取得が必要です。
 
 
モンゴルに3か月以上滞在する、日本の運転免許を持っている人は、運転免許の切り替えによる免許取得が現実的です。
日本とモンゴルでは締結している自動車の運転に関する国際条約が異なるため、いわゆる国際免許は通用しません。モンゴルの交通警察に赴いて日本からモンゴルの運転免許証に切替手続を行い、モンゴルの自動車運転免許証の発給を受ける必要があります。手数料自体は現在日本円で3000円程度ですが、必要書類や翻訳すべき書類もあります。
最近では、用紙不足などを理由に免許交付がかなりの長期間遅延していたという話も仄聞するので、心配であれば、慣れた人に相談するのが確実だと思います。

2014年4月29日火曜日

モンゴル・交通事故

もう4年も前の話になりますが、ウランバートルに来てまず一番驚いたのはその交通量とオフロード対応の高級車の多さでした。ランドクルーザーは当たり前、日本ではお目に掛からないレクサスの大型オフロードカー、ベンツ、Jeep、シボレーの大型車・・・ここは大型高級車の見本市か!?と目を見張ったものです。私がモンゴルに来る前には、日産の1000万円する車(パトロール?)の受注会をしたところ、一瞬で何十台もの注文が入ったとか。日本では車を持たない人も多くなってきましたが、モンゴルでは孫の代まで借金をしても車を手に入れる人も多いと聞きます。モンゴルの人々の車に対する思いは特別なものがあるようです。
車が増えれば事故も増えるわけです・・・
写真:身近で発生した接触事故の様子(2010年)


郊外に向かう道路は道が悪く、スピードを出すうえ、車線も少ないことから、スリップや正面衝突といった事故が絶えません。市中は渋滞が多いのですが、それだけにちょっとした接触事故や、夜間のスピードが出たときの事故などが多いです。
軽い接触事故程度であれば、話し合いで解決することが多いのですが、高額な自動車にぶつけたときや、人身事故の場合には争いになることが多いです。外国人が自動車を保有する場合は保険に入っていたほうが安全です。(2013年から強制保険制度が導入。なお、対人無制限のような保険商品はない模様です)。



交通事故の被害者になったとき、まず必要な ことは、警察を呼んで交通事故証明書を作成してもらうことです(日本と同じ)。事故証明書は物損の場合でも作成できます。ウランバートル市内であれば、交通警察官はあちこちにいますので、現場を動かさずに到着を待ちます。交通事故証明書は、裁判など今後の手続で最も重要な証拠書類のひとつになります。この証明書に基づいて過失割合が算定されることになるからです。したがって、警察官には、きちんと自分の主張を述べて証明書を作成してもらう必要があります。
 写真:外国ではこの程度の事故でも面倒なことになりかねません。
 

訴訟になった場合、日本人が違和感を持つのは、モンゴルでは慰謝料(精神的損害賠償)請求が認められていない点です。交通事故に遭遇した場合請求できるのは、過失割合に応じた、けがの治療費、物の修理費、逸失利益(けがで入院した期間の賃金)などになります。なお、治療費の確定など細かい手続がありますので、大きな事故に遭遇したら専門家に相談することをお勧めします。

2014年4月28日月曜日

モンゴル・弁護士資格

数日前に積雪があったと思ったら、今日の気温は24℃。季節の変わり目のモンゴルは温度差の激しい日が続きます。


さて、仕事を依頼するなら有能な弁護士に依頼したいもの。しかし、モンゴルでは、有能かどうかという以前に、弁護士以外の人も法律コンサルタントや法律アドバイザーを名乗っており、法曹資格の有無からチェックする必要があったりします。


専門的な法律業務を行うためには、司法試験に合格して、法律専門職(法曹)としてのライセンスを受ける必要があります。法律相談などする場合には、できればこのようなライセンスを持っている人に依頼するのが安心です。

ちなみに、私も、先日、法律専門職ライセンスを受けました。いわゆる法曹のライセンスであり、日本でいう外国法事務弁護士と同様の資格となります。
写真:著者のモンゴル法曹登録証明書



モンゴルで法曹といえば、裁判官、検察官、弁護士、公証人その他の法律専門家を指すのが一般です。要するに司法試験に合格した人のことである点は日本と変わりません。
モンゴルの司法試験の受験資格は日本よりも厳しく、大学で法律を専攻したこと、2年以上の法律実務経験があることなどです。試験は、これまでの例では、択一式試験と論文式試験に分かれていました。試験の難易度は、日本の司法試験よりはかなり簡単であると思います。

モンゴル・逮捕から起訴までの刑事手続


国が違えば、価値観、法律も違う。日本の感覚では違法ではないようなことも法に触れ逮捕!ということはありうることです。モンゴルに住んでいる日本人は300人ほどと少ないのですが、仕事などで短期間訪れるを含めて、逮捕や逮捕されそうになる人は少なからずいます。日本でさえ逮捕されるとどうしていいか分からないもの。ましてや外国で突然逮捕されるような状況がわが身に起こったら・・・。そのような場合に備えて・・・というわけでもないですが、今回は、モンゴルの刑事手続のうち逮捕から裁判までの仕組みについてご説明します。

写真:日本で「スーホーの白い馬」で知られるスーホーの像。ダルハン市。

 
(逮捕~24時間)
捜査機関は、被疑者を逮捕した場合、24時間以内に、裁判官による取調許可命令を得なければなりません。裁判官の命令を得られない場合には被疑者は釈放されることとなります。

(取調許可命令~48時間)
捜査機関は、取調許可決定から48時間以内に、裁判官による勾留命令を得なければなりません。裁判官の勾留命令を得られない場合には、被疑者は釈放されることとなります。

以上の72時間が、勾留の命令を得るまでの捜査機関の持ち時間ということになります(刑事訴訟法60.2)。日本のように警察と検察で持ち時間が分かれているような制度ではありません。警察も検察も捜査機関として同じ扱いです。ただし、24時間を越える取調請求、勾留請求については検察官が行うものと定められています。


(勾留命令~14日間)
裁判官の勾留命令の定める勾留期間は14日以内です。14日を越えて勾留する場合には、捜査機関は勾留延長命令を得る必要があります。勾留延長命令による延長期間は1か月以内です。ただし、勾留延長命令は繰り返すことが可能です。延長できる期間は、犯罪の種類別に異なっており、たとえば殺人などの重大犯罪の場合には、最大24か月(+6ヵ月)という長期の身柄拘束が可能です。

(起訴まで~1か月以内)
裁判官のはじめの勾留命令が出てから起訴までの期間については、1か月以内と定められています(刑事訴訟法69.)。
写真:ウランバートルホテル前にあったレーニン像。2012年に撤去され現在では台座だけが残ってる。


以上が、現時点の、逮捕~起訴に至る基本的な刑事手続のフローです。


モンゴル刑事訴訟法は20079月に改正されました。それまでの旧刑事訴訟法に比べて、裁判官の判断を必要とする処分が多く定められ、勾留期間が短縮されています。旧刑事訴訟法よりも被疑者の人権保障が重視されているといえます。
モンゴルでは、現在、2007年の刑事訴訟法をさらに改正する作業が進んでいます。モンゴルは非常に激しく法律が変化している国ですので、常に注意して情報を収集する必要があります。

モンゴル・契約書の作成


モンゴルでビジネスをするとき気になるのが契約書です。オフィスを借りるとき、人を雇うとき、細かいところではインターネットを契約するときにも契約書を書く場合があります。一般に、契約書を作成するときに悩むのは、「モンゴル独自の契約書作成の決まりはあるのか?」という点ではないでしょうか。
写真:ウランバートル郊外にある巨大なチンギス・ハーン像

 
契約書で用いる言語については特に決まりはありません。モンゴル語だけでなく、英語、日本語、エスペラント語、どれでもかまわないのです。契約書を日本語とモンゴル語の両方で作成する場合、どちらの契約書が原本であるか(解釈基準となる契約書)を明示することが必要です。契約書のドラフト(原案)はできれば自分たちで作ります。原案を作成すると、自分に有利な契約内容を提示できるというメリットがあります。相手方としても全面的に契約書を書き直すことは難しく、また、こちらの有利さに気付かずに見過ごしてくれることもあります。原案を作るのは交渉の土俵を作るようなもので、修正といっても原案に引きずられることが多いといえます。
 
 
個人は印鑑を所持していないこと(逆に、法人は必ず所持しています)、慣習上(偽造防止、不適切な契約内容チェックの役目もある。一部の契約では契約成立要件である。)公証人の公証を受けることが多いことなどは、日本と異なる点です。

モンゴルの地方都市① ウムヌゴビ県ダランザドガド


私は、20134月から7月にかけての約3か月の間に、モンゴル全21県の23か所の町を訪問しました。訪問した土地では最低2回のセミナーを実施しましたので、3か月間ほとんど土日も関係なく出張している状態でした。その旅の中で気付いたことなどもこのブログに書いていこうと思います。
ムヌゴビ(南ゴビ)はゴビ砂漠に近く恐竜の化石が出ることなどでも有名で、観光地としてそれなりに発展しています。また近年では鉱山開発が進んでおり南部の拠点となっています。ウランバートルから南に約600kmの距離にあり、ゴビ砂漠に囲まれています。
ランドクルーザー2台で出発。途中お互いに車を見失うといったトラブルもあり、ウランバートルを朝出発しダランザドガドに到着したのは夜9時ころでした。4月中旬とはいえ草原にはまだ雪が残っていました。南へ下るにつれ雪がなくなり、ゴビに近づくにつれ地形も平坦になってきて、気温も暖かくなってきました。駱駝も見えます。
写真:南ゴビにはこのような景色が広がっています。この後ガゼルにも出会いました。 

ダランザドガドには一泊5万円以上もする高級ホテルもあります。主に鉱山関係の外国人などが利用するとのこと。レストラン等でも非常に物価が高いという印象をうけました。滞在中県知事ともお話しましたが近年鉱山開発の関係で県の経済状況が変化しているとのことでした。ウムヌゴビ県は2011年夏に家族で訪問したことがありましたが、そのときは郊外の砂漠や観光地を訪れました。宿泊もゲルキャンプで、ウムヌゴビの町に入ったことはありませんでした。今回はじめてダランザドガドを訪問しましたが、水道・電気・インターネットなどのインフラも割合しっかりしており、モンゴルの地方都市の中では(物価さえ普通であれば)暮らしやすい町のように感じました。
写真:ダランザドガドの市場付近の様子

モンゴル・アパート購入の注意点


日本と同じく4月のモンゴルは春の気配が漂います。ただし、モンゴルの春は嵐の季節。突風が吹いて飛行機が遅れたり、急に天気が悪くなって降雪したり、必ずしも穏やかな春ではありません。

写真:先日もウランバートルは4月末というのに積雪がありました。 


さて、先日も、モンゴルでアパートを購入したいという日本人にお会いしました。アパートと言っても、日本流にいえばマンションです。モンゴルでは、外国人が土地を購入することができません。しかし、建物(アパート)であれば購入できます。
アパート価格はここ数年で急上昇していて、不動産バブルの様相を呈しています。私がモンゴルに来たのは2010年ですが、この4年ほどで賃料は1.5~2倍に上昇しています。ただし、昨年来、外国人向けの高級アパートの賃料は落ち込み気味です。資金繰りに問題のある物件が多いのか、街を歩けば、建築途中で工事が中断している物件も多数みうけられます。
 写真:このビルで死亡事故が起きました。このような建築途中で工事が中断しているビルがあちこちにみられます。

 
アパート購入の際注意すべきことは、購入の目的によっても異なります。投資目的であれば場所が重要になります。たとえば、開通予定の地下鉄駅の推定場所、区画整理事業の対象地区かどうかといった点を考慮する必要があるでしょう。自己使用目的であれば交通渋滞や周辺の治安を考慮する必要があります。ウランバートル市中部は給湯管で暖房・お湯が供給されていますが、地区によってはお湯の温度が低いといった問題もあるようです。このような細かな点にも配慮できればよいと思います
 
 
法的な注意点としては登録がきちんとできているかどうかが重要です。登録面積と実際の面積が一致していないこともあります。これは旧来のアパートの面積評価では共有部分の面積を入れていないことが多かったこととも関係します。アパートの面積に共有部分が含まれているのかいないのかについても確認が必要です。

ごあいさつ

私がモンゴルで生活を始めたのが2010年。モンゴルでの暮らしももうすぐ5年目に入ります。
新しい土地、しかも初めて暮らす外国。そもそも私は大の飛行機嫌いで(今でも苦手です)海外旅行の経験も韓国に12度程度。モンゴル・ウランバートルでの生活はちょっとした買い物するのにも緊張で大仕事・・・といった日々だったのですが、ようやく慣れてきたように思います。
2013年には仕事でモンゴル全県の訪問を達成することができました。もう、結構なモンゴル通と言ってもよいのではないのでしょうか(妻には通じゃなくて「痛」だといわれますが・・・)。 
写真:ザイサンの丘からのウランバートルの眺め(2010年撮影)
モンゴルに住む日本人は300人ほど。自然と皆さんと顔見知りになり、モンゴルに住む数少ない日本人の法律家ということもあって法的な問題のご相談を受けることが多いです。立場上モンゴルでお金を頂くわけにはいかないので、正式な依頼を受けることはないのですが、モンゴルの法律に戸惑われている方が多くおられます。モンゴルでビジネスを展開しようとする人は、法情報の少なさには驚かれるのではないでしょうか。


このブログでは、そんな人に向けて、モンゴルの法律やモンゴル事情について書いていくつもりです。微力ながら、モンゴルでビジネスをしている人、これからしようと考えている人、その他モンゴルに関心をお持ちの人のお役に立てればうれしいです。私自身のくだらない日常もいっぱい書く予定でもあります。


お付き合いいただければ幸いです。

年齢を意識する

 高校の同窓会の案内が届いた。卒業後30年以上経ってはじめての同窓会である。同級生は皆50歳を超えている。生憎、所用で参加できないのだが、いまだに14歳のときから考えていることはほとんどおんなじで年齢を意識することなどほとんどないぼくも、ああ、おじいさんになったのかとしみじみする...