2015年12月6日日曜日

在モンゴル大使館で日本人弁護士による無料法律相談が開始されます

在外公館で法律相談
無料、日本企業向けに
ミャンマー・中国などで

 ミャンマーなどにある日本の在外公館で、日本人弁護士が日本企業向けの無料法律相談に応じるサービスが始まった。外務省が弁護士費用を負担する委託事業で、企業が外国で直面しがちな法規制を巡るトラブルの解決を在外公館が支援する。

 在ミャンマー(ヤンゴン)、在中国(北京)の両大使館と、在コルカタ(インド)、在スラバヤ(インドネシア)の両総領事館が9月に無料法律相談を始めた。加えて在モンゴル(ウランバートル)、在ネパール(カトマンズ)の両大使館でも12月以降、無料相談が受けられる見通しだ。


 ミャンマーとコルカタにはTMI総合、スラバヤとネパールにはアンダーソン・毛利・友常、北京には森・浜田松本の各大手法律事務所が日本人弁護士を派遣。モンゴルでは在住の専門家岡英男弁護士が担当する。


 弁護士は1~2か月に1回、在外公館で日本企業の関係者から相談を受ける。発展途上国などでは法整備が不十分なことも少なくない。現地政府や国営企業が相手だと、大使館や弁護士が前面に出ないと交渉にならないケースも多いとされる。弁護士にとっては、その後に企業からの有料相談を見込める。(日本経済新聞2015年11月23日(月曜日)記事)


http://www.mn.emb-japan.go.jp/jp/kankei/nihonjinbengoshi.html

モンゴル刑法改正

2015年12月3日、刑法改正案が議決されました。改正刑法は2016年9月1日から施行されます。
(主な改正点)
1 死刑の廃止
モンゴル国では現在死刑の執行は停止されています。今回、正式に死刑廃止しました。
2 自宅軟禁(保護観察)の条文追加
3 自白による刑の軽減
4 少年に対する刑罰設定
5 教育刑
6 法人処罰規定
これが最大の改正点であると言われています。
7 刑事損害賠償の規定の改正

2015年8月27日木曜日

9月からの道交法改正(モンゴル)

9月1日から道交法が改正・施行されます。運転する人は、次の主な改正点に注意してください。

1 飲酒運転 384000MNTの罰金および6月から24月の免許停止

2 免停の者が飲酒運転 768000MNTの罰金

3 再度の飲酒運転 30日間の禁固

4 法律違反の方式でレッカー移動(請負業者に対する罰則) 28800MNTの罰金

5 速度超過 48000MNTの罰金と6月の免許停止

6 最低速度違反 19200MNTの罰金

7 急ブレーキ 19200MNTの罰金

8 追い越し方式違反(左からの追い越し) 19200MNTの罰金

9 鉄道の進入禁止地帯への立ち入り 48000MNTの罰金

10 歩行者道路に駐車 19200MNTの罰金

11 整備不良での走行 19200MNTの罰金

12 許可なく緊急車両用の器具(サイレン等)を設置 96000MNTの罰金

13 緊急車両に道路を譲らない 19200MNTの罰金

14 シートベルトを付けない 9600MNTの罰金

15 運転中に携帯電話で話す 9600MNTの罰金

16 赤信号無視 19200MNTの罰金

皆さん気をつけましょう!

2015年8月11日火曜日

ビザの問題

8月10日から、モンゴル国民の一般旅券所持者に対して、短期滞在数次ビザの発給が始まりました。
滞在期間は15日、有効期間は最大3年とのこと。
モンゴルからの訪日旅行者数は2013年が1万5038人、14年が1万6927人、15年は1月から4月まで暫定値が6568人とのことです。
数年前から、ビザ申請から発布までの期間短縮や手続の簡略化があり、ビザ取得が容易になった感じはありましたが、短期滞在数次ビザはこれまで取得できなかったので、しばしば日本を訪問する人にとっては手続が面倒だったように思います。

2015年7月2日木曜日

モンゴルの地方都市を回っています

5月から投稿が滞りがちになっていました。
モンゴルの地方都市を巡回して、市民向けセミナーや裁判所での研修を実施しています。
2010年にモンゴルに来てから当初の2年間は、ウランバートル、ダルハン、エルデネトといった首都とその近郊の主要都市で仕事をしていただけでした。
2013年から、全国の裁判所での仕事がはじまり、全国を巡回しています。2013年にはモンゴル全県へ出張しました。モンゴル全県には、民事事件を取り扱う裁判所として、首都に最高裁と4つの民事裁判所、地方に29の郡間裁判所が存在しています。私は、首都の裁判所はすべて行きましたが、地方の裁判所は僻地にあることもあり、なかなか訪れることはできないでいましたが、この機会に全国の裁判所を回ることを考えたのです。

2013年と2014年で合わせて28の郡間裁判所を訪問しましたが、1か所、ボルガンの郡間裁判所だけは訪問できないでいました。ボルガン郡は、ホブド県というモンゴルでもっとも西に位置する県の南、新疆ウイグル自治区との国境沿いにある町です。2014年6月にようやくボルガン裁判所を訪問することができました。これで、モンゴルのすべての裁判所(29か所の郡間裁判所と同数の控訴審裁判所、6つの首都の第一審裁判所(民事、刑事)、首都の行政裁判所(一審、二審)、最高裁判所、憲法裁判所。68か所、21県と首都)を訪問するという3年越しの目標が達成できました。
                  ボルガンの第26郡間裁判所

2015年は、モンゴルの控訴審裁判所の所在地を中心に、全国10数カ所の裁判所への出張を行っているところです。2013年の出張は、西部の3県の巡回の最初と最後を除き、すべて自動車で巡回していましたが、今回は、日程節約のため飛行機をよく利用しています。今回訪問予定の地方の裁判所は先に述べたボルガンを除きすべて2度目以上の訪問となりますが、2年前と比較してもいろいろと変化が見えて興味深いです。

2015年5月21日木曜日

阿倍首相とエルベグドルジ大統領との会談報道にみる日本とモンゴルの関心の違い

5月20日、首相官邸で安倍首相とエルベグドルジ大統領が会談しました。同会談の模様は、両国で報道されています。それをご紹介します。

日本の見出しは、「戦略的パートナーシップ強化を確認」(産経フォト)、「安倍首相、モンゴル大統領と会談」(日テレNEWS24)、「モンゴル大統領戦後日本の歩みなど評価」(NHK NEWS WEB)といったもの。

これに対し、モンゴル側の見出しは、「日本はモンゴル国民に数次ビザ発行を決めた」(ikon)などビザ重視です。
外務省WEBサイトによれば、「安倍総理大臣から,両国国民の交流をさらに活発化するための取組の一環として,モンゴルの外交旅券所持者向け査証免除及び一般旅券所持者向け数次査証の発給を決定した旨伝え,エルベグドルジ大統領から謝意が述べられました。」とのことですが、モンゴル側の関心と日本側の関心(日本では、EPA、対北朝鮮に関連する内容中心。数次ビザに関する記載がないニュースも多数あります)の違いがわかります。

2015年4月22日水曜日

モンゴルの専門家(弁護士や会計士)について思うこと

モンゴルで仕事をしていると、ある程度専門的な質問に対し、専門家ごとに異なる回答が返ってくることが多いです。
もちろん、過失割合が微妙な交通事故で弁護士の見通しが違っているとか、かなり無理している経費が控除できるかどうかで税務会計士の意見が違っているとかいった話ではありません。
誰もが同じ回答をすべき事柄(たとえば、給与から社会保険の源泉徴収義務があることとか、自賠責保険は車両にかける保険であるということとか)であっても、専門家によって回答が異なったりするのです。

これらは、関連する法律を読んで、さらに若干の調査(担当役所に電話で聴き取るなど)すれば、間違えることはない内容です。でも間違える。
その理由は、専門家のほうで法律と実際の運用の区別がついていないことにもあります。言葉の壁でこちらの質問が正しく伝わっていないことも多い。しかし、最大の理由は、専門家のほうで疑問点をいちいち調べるくせがついていないこと、さらに加えて、知らないことを知らない、出来ないことを出来ないと言わない点にあります。

さすがに外国人相手の超一流の専門家はきちんと根拠まで調査しますが、現地でそこそこやっている程度の専門家は、平気でうそを言うことも多い。「それ違うのではないか」と疑問を感じはじめても、依頼者側が独自に調査してきちんと「こうではないか」と指摘するまでは事態は変わらないことが多い。そして、相手が自分より分かっていると感じると割りにあっさりと意見を修正します。多くは「その事情は知らなかった、法律がかわった」など言い訳をします。
私は、こちらの見解が絶対に正しいにも関わらずモンゴルの専門家と意見が異なってしまったことが何度もあります。その場合、私が外国人であることから、依頼者にはこちらが間違っていると思われることが非常に多い。さらに、依頼者の面前でモンゴルの専門家と対決させられるという扱いを受けたこともあります(これはとても失礼なことだと思うのですが、まあ、私が正しいことが明らかになった点はよいとしましょう)。

モンゴルの専門家は、知らないことでも平気な顔で回答するので、クライアントがその回答を信じるのはやむを得ないと思います。また、きちんと調査してから回答する専門家ほど頼りなさそうに感じられたりすることも多い。モンゴルの専門家に依頼するのは(突き詰めると)いろいろ難しいことも多いと思います。

2015年4月11日土曜日

マンション購入の際の注意点

毎週モンゴルで法律相談のテレビ番組に出演しています。先週は、テーマが「マンションの法律問題」でした。番組内ではしゃべる時間がなかったのですが、最近は次のようなマンションのトラブルが多いようなので、ご紹介するとともに注意喚起したいと思います。

1 建物面積が契約上の面積よりも狭い(例:建物面積は壁内から測量すべきであるのに壁外から測量した面積で販売した事例がある)

2 1と同じであるが、ベランダの面積を建物面積として組み入れることで実際の面積が契約上の面積より狭い(基準測量センターの「アパート建設内部面積計算方法」によればベランダは70%の面積として参入すべきとされる)

3 これも1と関連するが、建物面積の測量は2009年までは首都専門検査局が実施していた。しかしその後は民間業者が自ら測量することで検査制度が骨抜きになってきている。

4 物価上昇に伴う建築材料の高騰などを理由として、購入者が建築請負業者から追加代金の請求をされる事例

5 期限内に建物が完成しない場合があり、その場合の損害賠償のトラブル

6 請負代金未払いの事案で、遅延損害金のトラブル

7 契約解除する場合、注文者からの解除に対して10-20%の違約罰条項が設けられていることが多いがその妥当性に関連するトラブル

モンゴルでは、新築マンションの場合、1㎡あたりの単価を基準に価格算定されることが多いことから、上のようなトラブルが多発しています。マンション販売に関する契約書は業者側が作成することが多く、どうしても業者に有利な契約内容になりがちです。きちんと契約書を確認することが必要です。

2015年4月3日金曜日

公正競争・消費者保護庁の活動

モンゴルには、公正競争・消費者保護庁(AFCCP : Authority for Fair Competition and Consumer Protection)という内閣直属の国家機関があります。公正取引委員会とも訳されることがあり、確かに日本の公正取引委員会とも類似しますが、反トラスト以外にも、消費者保護の見地から活動を進めている点が特徴的です。日本でいえば、公正取引委員会と消費者庁を合わせたような組織といってよいでしょう。

最近では、違法駐車のレッカー移動が法律違反であるとして、ウランバートル市に是正勧告を出しています。また、レッカー移動にかわる手段としてタイヤロックも行われていますが、これも法律違反として是正勧告が出ています。しかし、市がこれらの是正勧告に従わないことから、行政裁判所に申し入れを行ったことが報道されています。

これ以外にも、住宅の面積の不当表示への勧告、小どものフライト料金無料化の勧告、銀行の二重の手数料徴収の是正勧告、電話料金の払い戻しに関する消費者に誤解を与えるような表示の是正勧告、欠陥住宅等の販売に関する是正勧告、保険仲介サービス業者の契約書に関する是正勧告、自動車学校の教育環境に対する是正勧告、美容院等での無資格者の行うサービスに関する是正勧告、公証人サービス料金の上乗せについての是正勧告、オートバイの品質に対する是正勧告、鉄骨の品質に対する是正勧告、大学料金の不当徴収に関する是正勧告、UB市内の有料公衆トイレを無料化する是正勧告、児童向け図書の不適切な内容についての是正勧告と有害図書没収などさまざまな活動を行っています。これらの活動は、検査官が検査のうえ決定されるのですが、消費者からの通報が検査の端緒になる事案が多いようです。

モンゴルで事業を考えている人は、公正な競争を心掛ける必要があります。特に、消費者保護の見地から法律違反が認められる例は(特に外国人には各種の法律が明確に理解できないこともあり)多数あると思われます。注意してください。

2015年3月12日木曜日

サマータイム導入

ほかにも書かれてるブログなどあるかもしれませんが、モンゴルでは3月末からサマータイムが導入されることが決まりました。現在、日本との時差は1時間で、日本が午前0時のときモンゴル(ウランバートル。西部地域はさらに-1時間)は前日午後11時です。これが、サマータイム導入後には日本との時差がなくなり、日本とモンゴルは同じ時間となります。

今後、毎年3月の最終金曜日の午前2時から9月の最終金曜日の0時まで、標準時を1時間進めることとなる、とのことなので、今年限りのイベントではなく、今後も制度は続くようです(もっとも閣議決定による制度なので法律などに比較して改廃は容易です)。
今年は、3月28日(土)午前2時が午前3時となり、日本との時差1時間がなくなります。サマータイム終了日時は、9月26日(土)午前0時で、9月26日(土)午前0時を同25日午後11時とし,日本との時差が0時間から1時間へと戻ります。(大使館からの告知文書を参照)。

モンゴルでも社会主義時代から2007年ころにかけてサマータイムがあったそうですが、以来中断されていました。


宵っ張りの私にとっては辛い制度ですが、日本に戻ってからの生活を考えると、時差がなく日本時間と同じというのはよいことかもしれません。しかし、やめてほしいなあ。
   写真:ウムヌゴビ県の洞窟

2015年3月11日水曜日

全国行脚

私はモンゴルに住んでもうすぐ丸5年になる。中でももっとも他人に自慢できることといえば、おそらくモンゴルの21県すべてを訪れたことではないかと思う。

2013年の春からはじめて7月にはすべての県を回り終えた。その前後にも訪れているので複数回訪れた町も多い。日本でも東京以北と九州はほとんど行ったことがないのに、異国で、交通も発達していない中、全ての地方都市に行ったというのは、仕事がらみであったとはいえ、とても興味深い経験だった。現在、裁判所評議会の5人の委員が私同様全国の裁判所を巡回している。しかし、これも5人で手分けして巡回しているのであって、1人あたり4つか5つの県ということになる。1人で全国を回った裁判所関係者はそれほど多くないのではなかろうか。

モンゴル全国を回って感じたことはいろいろあるが、軽い驚きの一例を挙げれば、日本と違い、方言というものがほとんどないことはちょっとした発見だった。もちろん、西部の町はカザフ人が多数を占めているところなどもあり、日常言語自体が異なるというのはあるのだが、モンゴル語をしゃべる人の中ではほとんど地域ごとの方言というものはみられない。日本の裁判所では、全国転勤する裁判官などが地元の(とくに高齢者の)しゃべる言葉が分からずに尋問のときなどに困惑するといったことを聞く。私も、関西出身であるのだが、四国に転勤となり、方言が聴き取れずに困った経験がある(私の場合、当時、裁判所書記官であり、尋問内容を調書に記す仕事だったことからこれは本当に重要な問題であった)。関西と四国というわずかの距離でも言葉が大幅に違うのであるから、日本の4倍というモンゴルではさぞ言葉も違うだろうと想像していたのだが、これは全く杞憂というか間違いだった。ほとんど言葉は違わないのである。

狭い土地に根付いた生活をする農耕民族と、ユーラシア大陸全体を移動して暮らす遊牧民族の違いを実感した。モンゴル帝国の時代には西アジアにイクター(分地)制があり、日本では鎌倉時代には荘園制があった。同時代の座標軸の中で類似しているとも地域的特長ともいえる制度があったことは知識としては知っていたのであるが、その「地域」の単位が異なるのである。大陸での一地域というのは想像を超える広大さだ。現在でも日本はモンゴルの1/4の面積なのにモンゴルの倍以上の47都道府県があるのだから、よく考えてみれば、当然、そこからも類推できることであるのだが、実際にモンゴル全国を訪れるまで実感がなかった。

今年も春からモンゴル全国を7つ程度のブロックに分けて巡回する予定である。おそらく、これが実現したら、モンゴル全国を2周回ることとなる。なんと貴重な経験だろうか。実は全国行脚というのは苦痛も多いのであるが、それをはかりにかけても、今から春が来るのが楽しみで仕方がない。

2015年2月27日金曜日

偽札の話

モンゴルの最高額紙幣は20,000MNTです。現在の相場で約1,200円というところでしょうか。
1,000円札が最高額紙幣ということですので、高額な買い物をすると非常にかさばることとなります。
1,000万円分の現金を手で持つと大人でも精一杯ですし、銀行に持参しても数えてもらうだけで1時間近くかかるのではないかと思います(危ないのでそんなことする人はあまりいないと思いますが)。でも、私でも実感する身近な例では、生活費など500USDほどを両替することはままあるのですが、現在では20,000MNT札で200枚近くになりますので財布には入り切りません。
このように最高額紙幣が少額であることは、マネーロンダリングなどの不正防止や紙幣の偽造防止には非常に役立っているように思います。

偽造についていえば、ホログラム 、マイクロ文字、すかし、特殊印刷など、モンゴルの紙幣にも偽造防止技術は多様されています。特にホログラムの偽造などは非常に困難だと思われますが数種類のホログラムが用いられているうえその印刷も改訂を重ねています。印刷はイギリスで行われており、技術的には高水準だと思います。

と、こういう話題を出させていただいたのは、今日、ゴビアルタイ県で20,000MNTの偽造紙幣が発見されたニュースを読んだからです。展示会場、銀行など複数の場所から発見されているようです。
プリンター印刷されているとのことですが偽造レベルはわかりません。ただ、写真を見る限り、かなり状態が悪く痛んでいる(くたびれている)ように見えます(もちろん、そのように装っているのですが)。

これは実は大事なことで、モンゴルの紙幣は比較的汚れて状態の悪いものが多く流通しているような気がします(私自身、1か月に何度か紙幣をテープで貼って修理する日があります)。これは、紙質の問題なのか、流通時の取り扱いの問題なのか、それとも中央銀行の流通から回収までの期間が長期間なのか不明ですが(私はもっとも大きな原因は回収の問題かと思っていますが)、その結果、せっかくイギリスに依頼している高度の偽造防止技術は、台無しになっているように思います。くたびれた札が多いので、偽造も容易になるということです。最高額紙幣でも1,200円と損害が少なくすむところが不幸中の幸いだとも言えますが、困ったことだと思います。

2015年2月26日木曜日

モンゴルにおける訴訟テクニック

モンゴルは先週まで旧正月月(ツァガーン・サル)休みでした。チベット歴の関係でここ数年、旧正月をいつにすべきか学説がわかれ直前まで日程が決まらないような状況がありましたが、今年は2月20日が元旦ということで、混乱もなく確定していたようです。
地方の裁判所

(モンゴルの)新年最初の更新は、ブログの表題が「モンゴル法」ですので、モンゴルの裁判所における訴訟テクニックについて述べたいと思います。

日本の裁判では、自己の主張を裏付けるために、弁護士は、法律だけではなく、最高裁判所の判例、下級裁判所の裁判例を引用することが多くあります。判例は先例として重視され、公平な法の適用を実現するために後の裁判所の判断に大きな影響を及ぼしているのです。そのため、日本の裁判所においても判例・裁判例情報が公開されていますし、判例を解釈した専門誌など多数存在しています。

この点、モンゴルの訴訟の実情は異なるようです。裁判官は、ほかの裁判所の判決を弁護士が引用することを非常に嫌うようです。これは、裁判官の独立という論点とからめて考えられているようですが、簡単にいえば、訴訟当事者(=その代理人である弁護士)が裁判官に圧力・影響をあたえることになるという考えです。
モンゴルでも日本と同様判例はインターネット、書籍、雑誌等で公開されています。しかし、それは裁判所の透明性の確保や、研究のためであるとのこと。もちろん、弁護士は訴訟戦略上判例を利用して主張を考えるし、裁判官は判例を調査して判決を書いているのですが、訴訟では引用しないほうがよい。学者の論文等を引用するのも同様に解されている現状です。
したがって、賢い弁護士は、判例の引用であると裁判官に思われないような形で、実際には判例のロジックを「引用」することになります。

是非はともかく、モンゴルで訴訟に巻き込まれた場合には、注意が必要なことだと思います。

2015年1月20日火曜日

モンゴルの税金に関する不服申立て方法

モンゴルの一般税法には、納税者の不服申立て方法として次の規定があります(同法72条)。


パターン1
1 税務検査官の決定に対して、管轄税務署長に不服申立てをする(30日以内)。
               ↓
2 税務署の決定に対して、上級の税務局に不服申立てをする。



パターン2
1 税務検査官の決定に対して、紛争解決委員会に不服申し立てをする。
               ↓
2 紛争解決委員会の決定に対して、上級の紛争解決委員会に申立てる。


いずれかのパターンで2の段階の決定にも不服がある場合には、裁判所に不服申立てをすることとなります。

2015年1月1日木曜日

今年もよろしくおねがいします

2015年最初の更新となります。

今年の年末年始は家族とモンゴルで過ごしました。

今年1年の皆様のご健康、ご成功をお祈りいたします。



年齢を意識する

 高校の同窓会の案内が届いた。卒業後30年以上経ってはじめての同窓会である。同級生は皆50歳を超えている。生憎、所用で参加できないのだが、いまだに14歳のときから考えていることはほとんどおんなじで年齢を意識することなどほとんどないぼくも、ああ、おじいさんになったのかとしみじみする...