2015年4月3日金曜日

公正競争・消費者保護庁の活動

モンゴルには、公正競争・消費者保護庁(AFCCP : Authority for Fair Competition and Consumer Protection)という内閣直属の国家機関があります。公正取引委員会とも訳されることがあり、確かに日本の公正取引委員会とも類似しますが、反トラスト以外にも、消費者保護の見地から活動を進めている点が特徴的です。日本でいえば、公正取引委員会と消費者庁を合わせたような組織といってよいでしょう。

最近では、違法駐車のレッカー移動が法律違反であるとして、ウランバートル市に是正勧告を出しています。また、レッカー移動にかわる手段としてタイヤロックも行われていますが、これも法律違反として是正勧告が出ています。しかし、市がこれらの是正勧告に従わないことから、行政裁判所に申し入れを行ったことが報道されています。

これ以外にも、住宅の面積の不当表示への勧告、小どものフライト料金無料化の勧告、銀行の二重の手数料徴収の是正勧告、電話料金の払い戻しに関する消費者に誤解を与えるような表示の是正勧告、欠陥住宅等の販売に関する是正勧告、保険仲介サービス業者の契約書に関する是正勧告、自動車学校の教育環境に対する是正勧告、美容院等での無資格者の行うサービスに関する是正勧告、公証人サービス料金の上乗せについての是正勧告、オートバイの品質に対する是正勧告、鉄骨の品質に対する是正勧告、大学料金の不当徴収に関する是正勧告、UB市内の有料公衆トイレを無料化する是正勧告、児童向け図書の不適切な内容についての是正勧告と有害図書没収などさまざまな活動を行っています。これらの活動は、検査官が検査のうえ決定されるのですが、消費者からの通報が検査の端緒になる事案が多いようです。

モンゴルで事業を考えている人は、公正な競争を心掛ける必要があります。特に、消費者保護の見地から法律違反が認められる例は(特に外国人には各種の法律が明確に理解できないこともあり)多数あると思われます。注意してください。

2015年3月12日木曜日

サマータイム導入

ほかにも書かれてるブログなどあるかもしれませんが、モンゴルでは3月末からサマータイムが導入されることが決まりました。現在、日本との時差は1時間で、日本が午前0時のときモンゴル(ウランバートル。西部地域はさらに-1時間)は前日午後11時です。これが、サマータイム導入後には日本との時差がなくなり、日本とモンゴルは同じ時間となります。

今後、毎年3月の最終金曜日の午前2時から9月の最終金曜日の0時まで、標準時を1時間進めることとなる、とのことなので、今年限りのイベントではなく、今後も制度は続くようです(もっとも閣議決定による制度なので法律などに比較して改廃は容易です)。
今年は、3月28日(土)午前2時が午前3時となり、日本との時差1時間がなくなります。サマータイム終了日時は、9月26日(土)午前0時で、9月26日(土)午前0時を同25日午後11時とし,日本との時差が0時間から1時間へと戻ります。(大使館からの告知文書を参照)。

モンゴルでも社会主義時代から2007年ころにかけてサマータイムがあったそうですが、以来中断されていました。


宵っ張りの私にとっては辛い制度ですが、日本に戻ってからの生活を考えると、時差がなく日本時間と同じというのはよいことかもしれません。しかし、やめてほしいなあ。
   写真:ウムヌゴビ県の洞窟

2015年3月11日水曜日

全国行脚

私はモンゴルに住んでもうすぐ丸5年になる。中でももっとも他人に自慢できることといえば、おそらくモンゴルの21県すべてを訪れたことではないかと思う。

2013年の春からはじめて7月にはすべての県を回り終えた。その前後にも訪れているので複数回訪れた町も多い。日本でも東京以北と九州はほとんど行ったことがないのに、異国で、交通も発達していない中、全ての地方都市に行ったというのは、仕事がらみであったとはいえ、とても興味深い経験だった。現在、裁判所評議会の5人の委員が私同様全国の裁判所を巡回している。しかし、これも5人で手分けして巡回しているのであって、1人あたり4つか5つの県ということになる。1人で全国を回った裁判所関係者はそれほど多くないのではなかろうか。

モンゴル全国を回って感じたことはいろいろあるが、軽い驚きの一例を挙げれば、日本と違い、方言というものがほとんどないことはちょっとした発見だった。もちろん、西部の町はカザフ人が多数を占めているところなどもあり、日常言語自体が異なるというのはあるのだが、モンゴル語をしゃべる人の中ではほとんど地域ごとの方言というものはみられない。日本の裁判所では、全国転勤する裁判官などが地元の(とくに高齢者の)しゃべる言葉が分からずに尋問のときなどに困惑するといったことを聞く。私も、関西出身であるのだが、四国に転勤となり、方言が聴き取れずに困った経験がある(私の場合、当時、裁判所書記官であり、尋問内容を調書に記す仕事だったことからこれは本当に重要な問題であった)。関西と四国というわずかの距離でも言葉が大幅に違うのであるから、日本の4倍というモンゴルではさぞ言葉も違うだろうと想像していたのだが、これは全く杞憂というか間違いだった。ほとんど言葉は違わないのである。

狭い土地に根付いた生活をする農耕民族と、ユーラシア大陸全体を移動して暮らす遊牧民族の違いを実感した。モンゴル帝国の時代には西アジアにイクター(分地)制があり、日本では鎌倉時代には荘園制があった。同時代の座標軸の中で類似しているとも地域的特長ともいえる制度があったことは知識としては知っていたのであるが、その「地域」の単位が異なるのである。大陸での一地域というのは想像を超える広大さだ。現在でも日本はモンゴルの1/4の面積なのにモンゴルの倍以上の47都道府県があるのだから、よく考えてみれば、当然、そこからも類推できることであるのだが、実際にモンゴル全国を訪れるまで実感がなかった。

今年も春からモンゴル全国を7つ程度のブロックに分けて巡回する予定である。おそらく、これが実現したら、モンゴル全国を2周回ることとなる。なんと貴重な経験だろうか。実は全国行脚というのは苦痛も多いのであるが、それをはかりにかけても、今から春が来るのが楽しみで仕方がない。

2015年2月27日金曜日

偽札の話

モンゴルの最高額紙幣は20,000MNTです。現在の相場で約1,200円というところでしょうか。
1,000円札が最高額紙幣ということですので、高額な買い物をすると非常にかさばることとなります。
1,000万円分の現金を手で持つと大人でも精一杯ですし、銀行に持参しても数えてもらうだけで1時間近くかかるのではないかと思います(危ないのでそんなことする人はあまりいないと思いますが)。でも、私でも実感する身近な例では、生活費など500USDほどを両替することはままあるのですが、現在では20,000MNT札で200枚近くになりますので財布には入り切りません。
このように最高額紙幣が少額であることは、マネーロンダリングなどの不正防止や紙幣の偽造防止には非常に役立っているように思います。

偽造についていえば、ホログラム 、マイクロ文字、すかし、特殊印刷など、モンゴルの紙幣にも偽造防止技術は多様されています。特にホログラムの偽造などは非常に困難だと思われますが数種類のホログラムが用いられているうえその印刷も改訂を重ねています。印刷はイギリスで行われており、技術的には高水準だと思います。

と、こういう話題を出させていただいたのは、今日、ゴビアルタイ県で20,000MNTの偽造紙幣が発見されたニュースを読んだからです。展示会場、銀行など複数の場所から発見されているようです。
プリンター印刷されているとのことですが偽造レベルはわかりません。ただ、写真を見る限り、かなり状態が悪く痛んでいる(くたびれている)ように見えます(もちろん、そのように装っているのですが)。

これは実は大事なことで、モンゴルの紙幣は比較的汚れて状態の悪いものが多く流通しているような気がします(私自身、1か月に何度か紙幣をテープで貼って修理する日があります)。これは、紙質の問題なのか、流通時の取り扱いの問題なのか、それとも中央銀行の流通から回収までの期間が長期間なのか不明ですが(私はもっとも大きな原因は回収の問題かと思っていますが)、その結果、せっかくイギリスに依頼している高度の偽造防止技術は、台無しになっているように思います。くたびれた札が多いので、偽造も容易になるということです。最高額紙幣でも1,200円と損害が少なくすむところが不幸中の幸いだとも言えますが、困ったことだと思います。

2015年2月26日木曜日

モンゴルにおける訴訟テクニック

モンゴルは先週まで旧正月月(ツァガーン・サル)休みでした。チベット歴の関係でここ数年、旧正月をいつにすべきか学説がわかれ直前まで日程が決まらないような状況がありましたが、今年は2月20日が元旦ということで、混乱もなく確定していたようです。
地方の裁判所

(モンゴルの)新年最初の更新は、ブログの表題が「モンゴル法」ですので、モンゴルの裁判所における訴訟テクニックについて述べたいと思います。

日本の裁判では、自己の主張を裏付けるために、弁護士は、法律だけではなく、最高裁判所の判例、下級裁判所の裁判例を引用することが多くあります。判例は先例として重視され、公平な法の適用を実現するために後の裁判所の判断に大きな影響を及ぼしているのです。そのため、日本の裁判所においても判例・裁判例情報が公開されていますし、判例を解釈した専門誌など多数存在しています。

この点、モンゴルの訴訟の実情は異なるようです。裁判官は、ほかの裁判所の判決を弁護士が引用することを非常に嫌うようです。これは、裁判官の独立という論点とからめて考えられているようですが、簡単にいえば、訴訟当事者(=その代理人である弁護士)が裁判官に圧力・影響をあたえることになるという考えです。
モンゴルでも日本と同様判例はインターネット、書籍、雑誌等で公開されています。しかし、それは裁判所の透明性の確保や、研究のためであるとのこと。もちろん、弁護士は訴訟戦略上判例を利用して主張を考えるし、裁判官は判例を調査して判決を書いているのですが、訴訟では引用しないほうがよい。学者の論文等を引用するのも同様に解されている現状です。
したがって、賢い弁護士は、判例の引用であると裁判官に思われないような形で、実際には判例のロジックを「引用」することになります。

是非はともかく、モンゴルで訴訟に巻き込まれた場合には、注意が必要なことだと思います。

2015年1月20日火曜日

モンゴルの税金に関する不服申立て方法

モンゴルの一般税法には、納税者の不服申立て方法として次の規定があります(同法72条)。


パターン1
1 税務検査官の決定に対して、管轄税務署長に不服申立てをする(30日以内)。
               ↓
2 税務署の決定に対して、上級の税務局に不服申立てをする。



パターン2
1 税務検査官の決定に対して、紛争解決委員会に不服申し立てをする。
               ↓
2 紛争解決委員会の決定に対して、上級の紛争解決委員会に申立てる。


いずれかのパターンで2の段階の決定にも不服がある場合には、裁判所に不服申立てをすることとなります。

2015年1月1日木曜日

今年もよろしくおねがいします

2015年最初の更新となります。

今年の年末年始は家族とモンゴルで過ごしました。

今年1年の皆様のご健康、ご成功をお祈りいたします。