2014年9月9日火曜日

ウランバートル市民の家計

ウランバートルの「National Life」生命保険会社から発表された「UBの家庭経済状況レポート」を紹介します。UBの1500世帯の調査です。

●一世帯の平均月収は1,500,000MNT。平均の月額貯蓄額は80,000MNT。

●家計状況の収支ついての質問には、46%が不足していると回答しています。(15%が足りている、39%がどちらでもない)

●社会経済の状況が家計に影響していると思うかとの質問には、41%がとても影響している、32%がまあまあ影響していると回答しています。(24%が少し、2%があまり影響なし、1%が全くなし)

●金のことで家庭内で喧嘩することはありますかとの質問には、7%がすると、72%がときどきすると回答しています。(21%はしない)

●金が不足した原因としては、病気が43%と圧倒的に多く、家の費用(22%)、借金(20%)と続きます。

●現状の家計では購えないものとして、株式(37%)、借家(34%)、学費(12%)、病気の際の費用(9%)、不慮の事故の際の費用(6%)、家の祝祭(2%)が挙げられています。

●金が不足したときの対処方法としては、給与の前借(42%)、知人からの借り入れ(34%)、担保に入れる(12%)と続き、これらの合計は、預金から支出する(10%)を大きく上回っています。

●収入不足の解消の方策としては、給料の増額(40%)、預金する(29%)、副業をする(25%)、保険に加入する(5%)、国の支援を期待する(1%)といったことを考えているようです。

●家計について計画的に考えているかどうかという質問の回答は、はい(22%)、いいえ(35%)、どちらでもない(43%)です。

●保険加入の状況では、ドライバー賠償責任保険(77%)、自動車保険(44%)、健康保険(30%)、住宅保険(29%)、損害保険(13%)、生命保険(13%)という加入率が出ています。







2014年9月8日月曜日

「支払いを国内紙幣ですることに関する法律」

外国企業は、モンゴルで契約するときには、主にUSドル建てで契約しようとします。為替リスクを回避するためでもありますが、ここに落とし穴があります。



「支払いを国内紙幣ですることに関する法律」(2009年)をご存知でしょうか?(私の知る限り、この法律の内容について解説された日本の文献や資料、WEBサイトはありません。)


この法律の4.1により、モンゴル国内でする支払については、一部の例外・中央銀行の許可がある場合を除き、MNTで支払いの表現をすることが義務付けられており、USDなどの外国通貨で支払の表現をすることが禁じられています。


具体的には、商品広告でMNT以外の通貨単位を用いることや、売買契約をMNT以外の通貨単位で行うことが禁止されているのです。モンゴル進出の日本企業でよく見られるのが、従業員の給与をUSDで記載しているような事例ですが、これも違法ということになります。


この法律の罰則は行政罰として次のものが規定されています。契約で得た利益の没収、最低賃金の10~30・50~100倍の罰金、修正の行政指導に従わない場合の企業の登録取消しなど。
また、契約の当該部分は無効になる可能性があると思われます。


契約の際にはご注意を!
*なお、この規制を回避する方法も一応あるにはありますが、ここでは公開しないこととします。

2014年9月4日木曜日

プーチン大統領のモンゴル訪問

昨日、プーチン大統領がモンゴルを訪問しました。
日帰りでの訪問でしたが、ジューコフ博物館などを訪問したそうです。

今年は、ノモンハン事件(ハルハ河戦争)75周年にあたります。ハルハ河の戦いは1939年5月から9月にかけて行われました。当初は満州国軍とモンゴル人民共和国軍との戦闘でしたが、最終的には、関東軍とソビエト労農赤軍との大戦争になりました。この戦争でのモンゴル側の死傷者は約1000人とされています。
(ロシア共同研究『20世紀の戦争におけるロシア・ソ連:統計的分析』, 2011)


ソビエト軍の司令官は、当時白ロシア軍管区副司令官であったゲオルギー・ジューコフ中将でした。
(独断専行を主導して敗戦を招いた関東軍参謀の辻政信・服部卓四郎らは一時閑職に追いやられたもののすぐに軍中枢(後、辻は参謀本部作戦班長・大佐、戦後は衆参議員等を歴任。服部は参謀本部作戦課長・大佐、戦後は復員庁部長などを歴任。)に返り咲きますが、現場指揮官以下の軍人の処遇は悲惨であり、生き残った連隊長の多くは自決を強いられました。日本側の主力部隊であった第23師団(小松原中将)捜索隊長の井置栄一中佐(陸士26期、自決後大佐)は筆者の高校時代の恩師の父です。帰国後井置中佐は自決するのですが、軍の処遇についてご家族は非常に悲しみ恨んでいたようです。私自身も軍の対応には怒りを覚えます。)


モンゴルには現在ジューコフ博物館があります。博物館展示はこじんまりしたものですが、博物館脇にあるジューコフ像は非常に大きく、立派なものです。昨日は、ここでプーチン大統領を招いた記念式典が行われました。
(5月の対独戦勝記念日もそうですが、モンゴルで過ごしていると過去の戦争の記念日や記念イベントの都度、少し後ろ暗い気持ちになります。)



今回の訪問に合わせて、両国民のビザ免除や、鉄道をはじめとする開発支援が約束されています。

2014年9月3日水曜日

最近のモンゴル訴訟事情③

前回、前々回からの続きです。

最近の訴訟で目立つ、2 保険関係事件とはどのような内容なのでしょうか。


目立って増えているのは交通事故で保険を使うケースです。モンゴルでは2013年から自動車の強制保険が義務づけられており、それに伴って紛争も増加しているようです。
何が争いになるかというと、保険会社が支払を拒否する事案です。保険金詐欺が疑われるような事案と言い換えてもよいでしょう。
たとえば、交通事故の前日に多額(たとえば1万ドル)の対物保険がかけられていたとかいった事件が係属しています。


モンゴルの交通事故処理に関しては以前このブログでも書きました。保険会社が絡むことが多くなっていますが、初期の混乱もなくなり、交通警察の事故処理も少しずつ手慣れてきているように感じます。
http://mongolaw.blogspot.com/2014/04/blog-post_29.html


交通事故については、障害や治療費については担当の役所で、物損については民間の評価会社でいっったん損害評価がなされます。また、交通事故証明書によっていったんは交通警察によって過失評価がなされます。これらの評価に基づき、保険会社が再度独自の評価を行い、支払金額を確定していく方法がとられているようです。


2014年9月2日火曜日

最近のモンゴル訴訟事情②

前回の続きです。

最近の訴訟では、1 不動産関係事件と、2 保険関係事件の増加傾向が見られると書きました。
そのうち、1 不動産関係事件としては、1-1 マンション面積のトラブルが激増している点にふれました。
不動産関係事件のうち、もう1つ、増加している紛争は次のようなものです。

1-2 マンション管理組合とのトラブル
この類型は、マンション所有者側に問題がある紛争と、管理組合側に問題がある紛争とに分けられます。


写真:マンション購入時には、水周り、共有部分、周囲の環境など慎重にチェックする必要がある。


1-2-1 マンション所有者側に問題がある紛争
管理料金未払いの問題が多く発生しています。この場合、所有者側には管理組合がきちんと管理しない(例として、掃除、ごみ捨場、電気水道、出入口等の管理を適切にしてくれない管理組合はとても多い)ことに対する不満があることが多いのですが、それとこれとは別の話であり、やはり決められた管理費を支払わなければほぼ間違いなく訴訟では敗訴しているようです。
なお、マンションの管理費は銀行振り込みできない場合が多いです。したがって、海外在住の方がモンゴルで投資用マンションを購入するような場合、管理費の支払方法をどうするか(現地の人に手渡ししてもらうなど)あらかじめ考えておくことが必要です。

1-2-2 マンション管理組合側に問題がある紛争
マンション管理組合は、管理業務を委託された組合でありますが、必ずしもマンション所有者・居住者の意思に従って動きません。
マンション分譲時に業務を委託された者が管理組合を支配し、勝手に管理事務所として使用しているマンションの一室を売却するような事案も見受けられます。この場合、この部屋には売主の所有権はないのが通常ですので、無権利者からの譲受であり、買主は保護されません(日本のように第三者保護規定はありません)。
したがって、マンション購入の際には売主の権利を権利証等で厳重に確認しておく必要があるのです。
また、モンゴルでは建設前のマンションが売買されることもあり、その場合には、マンションが完成・登録されていないので、権利証は存在しません。このような不安定な取引は極力避けるべきでしょう。



2014年8月25日月曜日

最近のモンゴル訴訟事情①

先日、標記の題名で講演する機会がありました。
時期を失すると無意味な内容にもなりかねないので、旬のうちに公開します。
2014年の上半期(1月から7月)で、特徴的だと思われる事件(民事) について、現職の裁判官・弁護士らにたずねました。客観的なデータではないのですが、ウランバートルで第一線で活躍する法曹の現在の問題意識が分かると思います。


最近目立つのは、1 不動産関係事件の増加と、2 保険関係事件の増加の傾向だといいます。いずれも、経済発展に伴う法律関係の複雑化のあらわれであると考えられます。


1 不動産関係事件について、具体的にはどのような紛争が増えているのでしょうか?
1-1 マンション面積のトラブル
近年マンション価格は高騰していますが、マンション面積の紛争が増加しているようです。
一般に、モンゴルでは、1平方メートルあたりの価格を基準にして、これに面積をかけて、マンション価格を決めています。購入後、表示されていた面積より狭いということで、マンション購入者が業者を訴える事案が最近非常に増えているのです。


特に新築マンションについては、①建設前から販売している、②面積に基づいて価格が決定されている、③面積の積算基準が明確でない、といった事情から、面積に関する紛争が絶えないとのことです。面積は、測量の方法によって面積は全く変わります。壁の内側からはかるのか、真ん中かはかるのか、外側からはかるのかによって大きく変化しますし、ベランダなどは含むのかといった問題もあります。公正取引委員会が一応、基準となる測定方法を定めているのですが、この面積表示基準については、現在行政訴訟で有効性を争われており、基準として確定していません。したがって、面積基準に従っていないということで訴訟提起しても、必ずしも勝てるわけではありません。また、この基準に従うという契約がない場合、面積表示基準に従った判断はされない可能性もあります。さらに、建物種類によっては、面積基準が適用されるとしても、どの基準(基準は複数ある)が適用されるのか、という問題があります。


結局、契約書にどのように書かれていたかによることになります。
契約書に記載がない場合には、購入価格が相場に沿っているかなど公平の観点から判断するしかなく、大多数の裁判では、業者に不利な判決を出すと不動産市場が低迷するといった政策的考慮もされているのではないかとのことです。
契約書の重要性がわかる話です。

2014年8月22日金曜日

首都の交通規制

モンゴルでは9月1日から新学期が始まります。

8月末の今の時期は、地方の実家に帰っていた学生が首都に戻ってくる時期であり、また、新学期の準備のため人々が忙しく動き出す時期でもあります。

この時期の首都の交通の混雑を解消する目的で、今日(8月22日)から2つの交通規制が始まっています。

1つは、車両のナンバー規制です。現在でも、各曜日に走れる車両ナンバーが決まっており、たとえば、うちの自動車は末尾4のナンバーですが、毎週木曜日には首都を走行できない決まりとなっています。今日から8月31日まではさらに規制が厳しくなります。すなわち、その日に走行できるのは奇数、偶数のいずれかのナンバーの車両だけとなります。私の場合、個人で持っている自動車も、仕事で与えられている自動車もいずれも末尾が偶数ですので、生活にとても差し支えます。



もう1つ、今日から8月31日までの間、新バスルートの試行が始まりました。首都の中心を東西に走る平和通りなどで路線が混在し、円滑な走行に支障が生じていることや、複数の路線が重複して非効率であることなどを理由に路線を整理しています。さらに、乗車料金500MNTは、これまでは1回乗車の都度支払う必要がありましたが、路線変更に伴い、当日であれば何度乗車しても500MNTとなっています。