2014年5月7日水曜日

モンゴルの法律家・弁護士/法曹/委任代理人

モンゴルの法律家について、私がまず驚いたのはその女性の比率の多さでした。私はモンゴルの裁判官と一緒に仕事をすることが多いのですが、特に、民事事件担当の裁判官は圧倒的に女性の数が多いです。たとえば、ある裁判所の裁判官全員が女性ということも普通にあります。昨年聞いた話で現在は違うようですが、男性の民事事件担当裁判官はモンゴル全土で2人だけだということでした。裁判官は400人程度だったと思いますが、それにしても2人というのは少なすぎです。男性は主に刑事事件担当の裁判官になるようです。
写真:モンゴル裁判所のマーク


モンゴルで一般に法律家といえば、裁判官、検察官、弁護士のことを言うのは日本と同じです。ただし、それ以外にも、公証人や大学の法学の先生についても、一般に「法曹(法律専門家)」と呼ばれています。日本と同様モンゴルでも司法試験が行われていますが、これは「法曹試験」というべきもので、この試験に合格した人が法曹を名乗ることができるのです。そして、裁判官、検察官、弁護士といった人は、法曹有資格者の中から、それぞれさらに試験などを経て選抜されることになります。司法試験受験の要件は厳しく、法律の高等教育を受け、さらに2年間の法律実務経験があることが求められます。
写真:モンゴル弁護士会のマーク


モンゴルでは、法曹は対価をもらって法律サービスを提供する許可を受けており、法曹=弁護士に近いものです。ただ、モンゴルにも、弁護士と呼ばれる人はいるので、法曹と弁護士の違いが気になるところです。
結論から申し上げると、弁護士は、裁判所に登録された法曹のことです。裁判所に登録されるためには、司法試験とは別に行われる弁護士試験に合格しなければなりません。弁護士は、裁判で本人を「弁護」できる権限、法廷弁護権(裁判所での特別な代理権限)を持っています。この法廷弁護権は弁護士が独占する権利であり、その結果、本人と同時に法廷に立てるのは弁護士だけとされています。

写真:モンゴル人から「日本の桜」といわれている花。ゴビ方面でこの時期に開花しています。


ところでモンゴルでは、弁護士や法曹でなくても、代理人として裁判で本人を代理することは誰にでも認められています。これを委任代理と呼んでいます。この委任代理人は、本人の能力を補う趣旨で本人に代わって法廷に立つことから、本人と同時に法廷に立てないとされています。刑事訴訟の場合、被告人本人が在廷していますから、委任代理人を用いることはできません。しかし、民事訴訟の場合には本人が出頭しないことはしばしばあることから、委任代理人が活躍することになります。
弁護士ではない「法曹」(退職した裁判官や検察官などが多い)や法曹ですらない人(まだ法曹試験に合格していない法学部の学生や卒業生など)が法律コンサルタントなどを名乗り、委任代理人を業として行っています。弁護士と委任代理の違いは、先に述べたとおり本人と法廷に同時に立てるかどうかなのですが、民事訴訟であれば実際の取り扱いにほとんど違いはないといってよいでしょう。



つまり、日本の「法曹」は、全員が法廷弁護士としての教育を受けていますが、モンゴルの「法曹」は、法廷弁護士である弁護士、事務弁護士である法曹(法律専門家、いわゆるロイヤー)に大きく区分されるといってよいと思います。
そして、弁護士や法曹ですらない人に対しても、委任代理人という形で実質は法廷弁護士と同じ活動を可能にしている点も、モンゴルの特徴的なところです。

年齢を意識する

 高校の同窓会の案内が届いた。卒業後30年以上経ってはじめての同窓会である。同級生は皆50歳を超えている。生憎、所用で参加できないのだが、いまだに14歳のときから考えていることはほとんどおんなじで年齢を意識することなどほとんどないぼくも、ああ、おじいさんになったのかとしみじみする...