2014年5月9日金曜日

モンゴル・公証人

モンゴルに住んでいると、ビザの申請、外国人登録証の発行、ホローの住民登録、自動車の保険加入、家の賃貸契約、インターネットやケーブルテレビの加入契約・・・といろいろな手続が必要になってきます。その都度必要になってくるのが、公証人のはんこです。私自身、モンゴルに来た直後にパスポートのコピーを公証してもらって銀行口座を開き、外国人登録証を作成し、それらのコピーをつけて家を借りる契約をし、さらにその契約書を公証するといった具合で、公証に公証を重ねている状態です。
ところで、公証とは、事実や契約の適法性について公権力を根拠に証明することです。この公証をおこなう人を公証人といいます。
日本では公証人になることは非常に難しく、裁判官、検察官などを退職した人が就任するのが通例です。人数も、550人弱しかいません。これに対し、ウランバートルにはコンビニエンスストアの数と同じくらいの公証人のオフィスがあるイメージです。モンゴルの公証人は約300人であり、これは日本(1億2760万人)とモンゴルの人口(270万人)比(約47:1)を考えて日本の人口に直すと1万4100人。モンゴルには日本の約26倍の比率で公証人がいることになります。


モンゴルの公証人は、司法試験合格者が3年の実務経験を経て公証人試験に合格してようやく就任できるものです。ただ、社会的地位は、裁判官、検察官、弁護士に比してかなり低いことは否めません。最近法改正されるまでは、弁護士で公証人を兼ねている人がかなり多くいました。現在、弁護士の公証人兼任は認められていません。
写真:ウランバートル市内の公証人オフィス。入口で客が並んでいる。


これだけ多数の公証人がいても、モンゴルの公証人のオフィスはいつも人でいっぱいです。モンゴルでは、特に役所関係に限っていえばほとんどどんな書類についても公証が必要となるイメージですので、非常に公証人の仕事は多いと思います。公証人もコピーに証明印を機械的に押していくような感じで事務を進めていきます。公証してもらう書類が多数に及ぶ場合など、本来公証すべき書類に押印していなかったり公証人のサインを忘れなども多いので、しっかり観察しておく必要があります。基本の理屈は、「原本(押印のある文書)は公証しない」「コピーは公証する」「原本(押印)がなければ公証しない」というものですので、慣れてくれば大体の処理方針は理解できると思います。公証人の料金は法務省令で定められており、契約書の公証などにおいては契約金額が基準となります。
写真:公証人のマーク



モンゴルの公証人から法律面でアドバイスを受けることはほとんど望めません。公証を成立要件とする契約もありますが非常に限定されています。公証された文書に基づいて裁判官に執行力を付与してもらう手続もありますが実際には全く運用されていません。このように、法的には、公証の意味はほとんどないともいえます。
しかし、公証された文書を偽造することは、物理的にも心理的にも非常に困難になることは確かです。モンゴルでは公証には偽造防止という重要な存在意義があるといえます。

年齢を意識する

 高校の同窓会の案内が届いた。卒業後30年以上経ってはじめての同窓会である。同級生は皆50歳を超えている。生憎、所用で参加できないのだが、いまだに14歳のときから考えていることはほとんどおんなじで年齢を意識することなどほとんどないぼくも、ああ、おじいさんになったのかとしみじみする...